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2008年03月20日
 ■ Ernie K-Doe のアルバムが初CD化された!

 久しぶりの更新です。「アラン・トゥーサン」で検索して来てくれる人が増えているので、関連する話題を書きます。

 レコード・コレクターズの3月号で、アラン・トゥーサン特集の原稿を書かせてもらいました。20年以上愛読しているあこがれの雑誌に書くことができて感無量です。私の原稿は拙いところが目立って嫌になりますが、音楽評論家の文屋章氏による渾身のソロ・アルバム全レビューは、それを補って余りあるものです。アラン・トゥーサンやニューオーリンズの音楽が気になる人はぜひ読んでみて下さい。

レコード・コレクターズ 2008年3月号

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 さて、アーニー・ケイドーといえば、アラン・トゥーサンがプロデュースした1961年の "Mother-in-Law" がポップ・チャート1位の大ヒットになったシンガーですが、そのアーニーが70年代にもう一度アランと組んでアルバムを作っていることは意外と知られていないようです。

Ernie K. Doe "Ernie K. Doe" (Janus JLS 3030)

 ニューヨークのレーベル、ジェイナスから1971~72年ごろ(*)に発売されたアルバムです。久しぶり(6~7年(*)ぶり)にアラン・トゥーサンがプロデュースすることになった経緯は不明ですが、10曲中8曲がアランによる書き下ろしの新曲で、アレンジも全曲手がけているので、力の入りようがわかります。なぜか「ケイドー(K-Doe)」ではなく「K・ドー(K. Doe)」に改名(?)していますが、名前をそのままアルバム名にしたことからも心機一転の気概が伝わってきます。
*(さらに調べたところ70年の発売という説が有力のようなので訂正しておきます。2人が組むのは65年以来5年ぶりということになります。4月2日追記)

 発売当時どのぐらい話題になったのか判りませんが、内容が良いのに言及されることが少ないのは、アナログ~CD時代を通じて一度も再発されたことがないからでしょう。それが今週、いきなりCD化されたのだから驚きました。

Ernie K-Doe "Here Come the Girls" (Great American Music/2008)

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HMV

 題名もジャケットも違いますが、中身はジェイナス盤の世界初CD化です。アルバムの全10曲にボーナス・トラック3曲を追加した13曲を、曲順を変えずに収録。なじみのないレーベルですが、音楽ライターのビル・ダール(Bill Dahl)の企画で、ライナーノーツも彼が書き、ケイドー夫人の許可も得ているし、マスタリングのクレジットもあるということで、きちんとしたリリースであることがわかります。

 アーニー・ケイドーということで60年代ののんびりしたR&B路線を予想すると面食らうかもしれませんが、もう少し力強いソウルというかファンクのアルバムです。
 個人的にはA面(CDでは1~5)の流れが大好きで、シングルカットされた "Here Come the Girls" 、映画ファンには『ブルース・ブラザーズ』のテーマ曲としておなじみの「お前を離さない」をうまく換骨奪胎した "A Place Where We Can Be Free" 、いかにも70年代前半のトゥーサンらしい気だるいファンクの "Whoever's Thrilling You (Is Killing Me)" (直後に同じジェイナスから出たアルバムでグラディ・テイトがすかさずカヴァーしている)あたりがすばらしいのです。
 B-1で、ダニー・ホワイトのヒット曲 "Kiss Tomorrow Goodbye" をカヴァーしているのは、彼とアーニーをアランがよく比べていたことを考えると面白い選曲です。

 録音場所も参加ミュージシャンも表記されていないのですが、シー・セイント・スタジオができる前なので、ロサンゼルス、メンフィス、マイアミなどいろいろな可能性がありそうです。私にはミーターズのメンバー(の少なくとも一部)が参加しているように聞こえますが、これは確認できませんでした。

 ボーナス・トラックは、このあとに出たシングル(Sansu 1016)の両面と "Mother-in-Law" のアウトテイク。とりわけシングルA面の "Hotcha Mama" は快作だと思います。もう1枚のシングル(Sansu 1006)の両面も収録してくれれば、70年代のアーニー&アランの集大成になったのですが、そこまで望むのは贅沢というものでしょう。
 このCDで何といってもうれしいのは、音がよいことです。LPは中古盤で2度買っているのですが、2枚ともチリチリという細かいノイズがひどく(1枚はシールド未開封だったのに)、状態の良い盤はないのかとあきらめていました。ようやくシャキッとした音で聴けて、それだけでも感謝しています。
 ちなみに、ここからカットされたシングル(Janus J-167)は珍しいうえに人気があるようで、凄い値段が付いているのを見たことがあります。両面ともアルバムで聴けるのにいささか不思議です。

 今回のCD化で唯一残念だったのはジャケットで、60年代初期の写真だし、デザインも地味だし、こりゃないですよね。これでは、60年代前半のミニット/インスタント時代の編集盤と間違われるのは必至でしょう。私はオリジナル盤のジャケット写真をCDのケースに入れて気分を出しています(上のジャケット写真をクリックするとぴったりサイズの画像が)。


ミニット/インスタント時代の編集盤はこちら
"A Real Mother-in-Law for Ya: The Allen Toussaint Sessions 1959-63" (WestSide/2002)

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音楽評論家・文屋章氏のブログ
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