2007年09月22日
 ■ あさってからリチャード・フライシャー特集

   

 今月はBS・CS通じて録画したいものが少なく、拍子抜けすると同時に、こりゃ楽でいいわいと思っていたのですが、これだけは騒がずにはいられません。

 リチャード・フライシャーの監督作が、明後日9月24日からWOWOWで特集されます。放送されるのはこの4本。

恐怖の土曜日(1955) WOWOW
ならず者部隊(1956) WOWOW
フォート・ブロックの決斗(1959) WOWOW
栄光のジャングル(1961) WOWOW

『ならず者部隊』は国内盤DVDも出ていますが、あとは未ソフト化。『恐怖の土曜日』『フォート・ブロックの決斗』は10年以上前にWOWOWで放送されたきり久方ぶりのテレビ登場となります。
 すべてこの時期の20世紀フォックス作品なので、シネマ・スコープなのは基本仕様。『栄光のジャングル』だけトリミング版なのは残念ですが、米本国でもソフト化されたことがなく、見られるとは思っていなかった作品だけに、今回の放送には驚喜しています。

 フライシャーの黄金時代といえば、20世紀フォックスでの職人監督生活から解放されて、『10番街の殺人』『ラスト・ラン 殺しの一匹狼』『見えない恐怖』『センチュリアン』『ソイレント・グリーン』『ザ・ファミリー』『スパイクス・ギャング』『マジェスティック』『マンディンゴ』と、傑作傑作また傑作を連打した70年代前半がそれにあたるのは間違いのないところですが、フォックス時代の“万能の職人”ぶりも端倪すべからざるものがあります。ドン・シーゲルともロバート・ワイズとも違う、仄暗い個性、さりげなく切れ味のいい演出をこの機会に堪能しようではありませんか。

 しかしこうなると人は欲張りになるもので、次はぜひ『夢去りぬ』『強迫 ロープ殺人事件』『鏡の中の犯罪』というフォックス時代の三大傑作を、スコープ・サイズで見られますようにと願わずにはいられません。
 

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2007年08月25日
 ■ 明日からジョン・フォード特集

    

 8月の録画予定のなかで、もっとも期待している番組がこれ。明日8月26日から4日連続で放送されるWOWOWのジョン・フォード特集がすごいことになっています。

ドクター・ブル (1933) WOWOW
プリースト判事 (1934) WOWOW
周遊する蒸気船 (1935) WOWOW
虎鮫島脱獄 (1936) WOWOW

 フォックス時代のフォード4本立て! しかもウィル・ロジャース三部作を全作放送! しかも『ドクター・ブル』はこれが本邦初公開! しかもシャーク・アイランドまで付いてくる大盤振舞い! しかも20世紀フォックス所蔵の正規マスターなので、パブリックドメイン版のソフトなどとは雲泥の差の、美麗プリントが期待できそうです。

 ちなみに、このなかでは唯一、同時代に日本でも劇場公開された『虎鮫島脱獄』は、なぜか邦題を『虎鮫島脱出』としている資料が多く、私も長いあいだ、まちがって憶えていましたが、じつはこの『~脱獄』が正解。さらに(私は確認できていませんが)「虎鮫島」に「シャークアイランド」とルビが付いたそうです。

 ちなみに、トラザメというのは性質温厚で人を襲わないのだそうで、にもかかわらず映画の邦題によく登場するのは、ハワード・ホークスの "Tiger Shark" (1932) が『虎鮫』の邦題で公開されたのが嚆矢。英名タイガー・シャークは日本ではイタチザメで、イタチじゃ怖くないからねえ――というのも有名な話。
 
 

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2007年07月06日
 ■ 7月の録画予定

 今月の録画予定ですが、7月は、年に1度だけスポーツ中継に可処分時間を占有される月なので、計画も自ずと節度の効いたものになります。

 そんな中でいちばん期待しているのは、新しいテレビシリーズがいろいろと始まることでしょうか。

 WOWOWからいくと――

ROME[ローマ]
http://www.wowow.co.jp/drama/rome/
 古代ローマを題材にした歴史ドラマの超大作です。うーん、サンダルものかぁ、という声も聞こえてきそうですが、HBOとBBCが手を組んで、チネチッタ撮影所でものすごい製作費をかけて作ったもので、さすがに見応えがあります。カエサルがルビコン川を渡るところから始まって、全22話をかけていわゆる「内乱の時代」が描かれていくわけですが、もう一方の主人公に無名兵士2人を配したのが効いていて、歴史考証と想像力の両方が、ドラマの盛り上げにうまく使われています。
 製作の中心人物は、企画・製作総指揮・脚本のブルーノ・ヘラーというイギリス人ですが、企画にジョン・ミリアスが噛んでいたり(このおっちゃんもしぶといねえ)、最初の3話の監督はマイケル・アプテッドだったりします。

ザ・ユニット 米軍極秘部隊
http://www.wowow.co.jp/drama/unit/
 あのデイヴィッド・マメットと「ザ・シールド ルール無用の警察バッジ」のショーン・ライアンが組んだ新作! しかも特殊部隊もの! ということで非常に期待していたわけですが、第1話を見た限りでは、何がやりたいのかよく判りませんでした。
 任務を遂行する男たちと、留守を守る女たちの両方を同時並行で描いていく、という仕掛けがどう効いてくるのか、まずは見守りたいと思います。

GSG-9 対テロ特殊部隊
http://www.wowow.co.jp/drama/gsg9/
 それに比べるとこっちは特殊部隊アクションの王道を狙ったものに見えます。ドイツのテレビシリーズですが、ていねいに作られていて遜色ありません。
 いずれにせよ、このジャンルの最高傑作は「S.A.S. 英国特殊部隊」(の第1・2シーズン)だったと思っているので、超えるべきハードルはなかなか高いのです。

クリミナル・マインド FBI行動分析課
http://www.wowow.co.jp/drama/criminal/
 FBIのプロファイラー・チームを主役にした犯罪捜査もの。「シカゴホープ」のマンディ・パティンキンが伝説的な分析官を、「ダーマ&グレッグ」のトーマス・ギブソンがその部下を演じています。FBIならではの全米が舞台というスケール感は悪くないと思いました。チームに天才少年がいるのも面白かった。
 このジャンルでは現在「クローザー」という強力なライバルがいますが、がんばってほしいです。

 NHK-BSでは、これが始まります。
スター・トレック 宇宙大作戦 デジタルリマスター版
http://www3.nhk.or.jp/kaigai/startrek/
 アメリカでは去年の秋に放送が始まって話題になった「特別篇」ですね。CGによる特撮ショットの修正、テーマ曲の再録音、放送順の差し替えなど、賛否はあるでしょうが見てみたいです。

 新作ではありませんが、時代劇専門チャンネルで始まるこれも、見る機会の少ないテレビシリーズで、待望の放送です。
長谷川伸シリーズ
http://www.jidaigeki.com/prog/108505.html
 全30話で、1972~73年の放送。企画はマキノ雅弘で、各話の監督には山下耕作、稲垣浩、三隅研次、工藤栄一、佐々木康などが名を連ねています。マキノ自身も3話を監督。

 エピソード・リストがないかとネット上を検索したら、ちゃんとありました。
http://www.geocities.jp/kmkr_01/hasegawashinseries.html
 いやしかし、このサイトはすごいですね。しばし読み耽ってしまいました。


 映画で注目したいのは、日本映画専門チャンネルの中川信夫特集。
http://www.nihon-eiga.com/0707/0707_4.html

 7~8月の2ヶ月で12本の特集です。このなかで唯一見たことがあるのは『「粘土のお面」より かあちゃん』ですが、これはほんとうに傑作でした。
 特集のために、60分のドキュメンタリー番組まで作ってしまうのだから、力の入れようがわかります。
映画と酒と豆腐と 中川信夫、監督として人間として
http://www.nihon-eiga.com/prog/108535_000.html


 ドキュメンタリー番組といえば、これも気になるところ。
TOKUSATSU LEGEND ピープロ魂
http://www.nihon-eiga.com/prog/108530_000.html


 初放送ではありませんが、あまり知られていないようなので書いておくと、WOWOWで放送されるこれは、日本初公開の長尺版です。
チャイニーズ・ブッキーを殺した男
http://www.wowow.co.jp/schedule/ghtml/020044001V1.html


「ザ・シネマ」チャンネルでは、「ダーティハリー」シリーズ全作の吹替版が放送されます。
http://www.thecinema.jp/special/
 地上波放送用なので、95分前後にカットされた上に画面もパン&スキャンですが、DVD未収録の吹替版が聞けるのは貴重でしょう。

 見たことのない映画ですが、この2本も気になります。
ハイパー・ウェポン 最終狙撃者(1979)
http://www.thecinema.jp/channel/content.php?cinema_id=1596
冷血バイオレンスマスク 銃弾のえじき(1985)
http://www.thecinema.jp/channel/content.php?cinema_id=1621

 かたやパトリック・マクグーハン主演でジョン・ブアマンが製作した、アイルランド撮影の狙撃アクション。かたや晩年のリチャード・ウィドマーク主演で、監督はダグラス・ヒコックスの刑事もの。

 そういえば、映画秘宝の前号(7月号)に載った「オールタイム狙撃映画ベスト20」という記事は、とてもおもしろかったなあ。

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2007年06月24日
 ■ 6月の録画しているもの

 6月も終わろうという頃にナンですが、1本だけ大推薦作があるので書いておきたくなりました。

かんかん蟲は唄う(1955)
http://www.nihon-eiga.com/prog/108422_000.html

 これは傑作だよ、とむかし教えてくれた人がいて、爾来ずっと見たいと思い続けてきた若き勝新太郎の主演作です。見る機会は絶えてなく、くやし涙に暮れること幾星霜、ついにこの目で見られるときがきました。監督は三隅研次。もちろんテレビ初登場です(あと1回しか放送がありませんのでご注意を)。

 三隅研次ではこれもあります。
花の兄弟(1956)
http://www.jidaigeki.com/prog/108410_000.html


 鈴木英夫特集は今月でおしまい。
殺人容疑者(1952)
危険な英雄(1957)
社員無頼 怒号篇(1959)
社員無頼 反撃篇(1959)
悪の階段(1965)
http://www.necoweb.com/neco/program/category.php?id=464


 WOWOWではこれが気になります。
力と栄光(1933)
http://www.wowow.co.jp/schedule/ghtml/020102001V1.html
 スペンサー・トレイシー主演の人間ドラマで、脚本はプレストン・スタージェス。日本初公開。

 フリッツ・ラング2本立ても。
口紅殺人事件(1956)
http://www.wowow.co.jp/schedule/ghtml/019862001V1.html
無頼の谷(1952)
http://www.wowow.co.jp/schedule/ghtml/019859001V1.html


「ザ・シネマ」チャンネルでは『ダーティハリー』シリーズのドキュメンタリー特番を放送。初公開なのかな?
ダーティハリー:ザ・オリジナル
http://www.thecinema.jp/channel/content.php?cinema_id=1497
 7月の吹替版によるシリーズ一挙放送も楽しみです。


 シネフィル・イマジカではこれが日本初公開。
彼女はゴースト(1941)
http://www.cinefil-imagica.com/cgi-local/calsys.cgi?I4470&Z200706
 日本では1作目の『天国漫歩』しか公開されていない《幽霊コズモ・トッパー》シリーズの3作目 "Topper Returns" です。監督は職人ロイ・デル・ルース。

 カートゥーンネットワークでは、2月に米本国で発売されたばかりの「ティーンタイタンズ」のオリジナル長篇最新作が早くも登場。
ティーン・タイタンズ 東京で大ピンチ!
http://www.cartoon.co.jp/program/cnt200706.html#5

 今日放送のこれは、もとになった全4回のシリーズが面白かったので、ジャズ・ファンのみならず広くおすすめです。
疾走する帝王 マイルス・デイビス 菊地成孔のジャズ講座
http://www.nhk.or.jp/etv21c/index2.html
 
 

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2007年05月02日
 ■ 5月の録画予定


 5月のテレビでは、なんといっても衛星劇場のこれに欣喜雀躍。

古都憂愁 姉いもうと(1967) 衛星劇場
なみだ川(1967) 衛星劇場

 大映京都で三隅研次が監督したメロドラマ連作。とくに1作目の『古都憂愁 姉いもうと』は凄まじい傑作で、これがDVD化されていないのは人類史上の損失と言いたくなります。かつて特集上映などでスクリーンにかかると、そのたびに家族や友人を誘って見に行ったものですが、誰もがこれほどの名作が埋もれていることに驚いていました。90年代に一度WOWOWで放送されたきりテレビに出るのも久しぶりで、今月はこれ1本で衛星劇場との契約を決めました。

 シャープな活劇派とのみ思われがちな三隅研次の、叙情的なメロドラマの才能を堪能できるだけでなく、往時の撮影所に蓄積されたスタッフ・キャストの技能の厚みをガツンと思い知らされます。地元京都の人と街と食べ物をテーマにした映画なので、それゆえの製作陣のプライドもあったかもしれません。
 出演者ではヒロイン姉妹を演じる藤村志保と若柳菊はもちろん良いのですが、八千草薫、長谷川明男といった助演陣の輝きがすばらしく、とりわけ先ごろ相次いで亡くなった船越英二と藤岡琢也が、これ以上ないというぐらいの名演を見せてくれます。

 同じ主演コンビで、話もほぼ同工異曲の2作目『なみだ川』も、さすがに鮮度は落ちますが、決して悪い出来ではありません。

 三隅監督では他に、時代劇専門チャンネルに初期作が出ます。
編笠権八(1956)
http://www.jidaigeki.com/prog/108284_000.html

 衛星劇場では他に、田中徳三監督の怪談映画が2本。
化け猫御用だ(1958) 衛星劇場
怪談雪女郎(1968) 衛星劇場

 また、戦前の名匠・石田民三の監督作も。
花火の街(1937) 衛星劇場

 現存する作品が何本あるのかわかりませんが、石田民三は名作『花ちりぬ』(これは本当に傑作でした)しか見たことがないので楽しみです。しかもヒロインは『鴛鴦歌合戦』の深水藤子ですぞ。

「山本奈津子×小田かおる特集」としてこの4本の特集も。
セーラー服百合族(1983) 衛星劇場
セーラー服百合族2(1983) 衛星劇場
OL百合族19歳(1984) 衛星劇場
美少女プロレス 失神10秒前(1984) 衛星劇場


 チャンネルNECOでは、鈴木英夫特集が2ヶ月目に入りました。
http://www.necoweb.com/neco/program/category.php?id=447

蜘蛛の街(1950)
大番頭小番頭(1955)
チエミの婦人靴(ハイヒール)(1956)
青い芽(1956)
彼奴(きゃつ)を逃すな(1956)
非情都市(1960)

 なんといっても『彼奴を逃すな』と『非情都市』が、鈴木英夫が得意とした現代サスペンス映画の傑作。『蜘蛛の街』も初期に大映で撮ったスリラーでおすすめです。

 めずらしいところでは、チャンネルNECOのこれも。
薔薇の標的(1972)
http://www.necoweb.com/neco/program/program.php?id=3379&month=05

 館ひろしの東映セントラル映画ではなく、加山雄三の現代アクションですね。『狙撃』『弾痕』『豹(ジャガー)は走った』に続く、加山ハードボイルド第4弾ということになるのかな。監督は『豹は走った』と同じ西村潔なんですが、これが何と、同じ西村監督の傑作『ヘアピン・サーカス』と二本立て公開だったというからびっくりです。


 WOWOWでは、鈴木清順の後期日活作品から10本を選んだ特集があります。どれを見ても面白いのですが、個人的には、軽快すぎてあとに何も残らない『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』(1963)が大好きです。
http://www.wowow.co.jp/schedule/ghtml/011987001G2.html

 意外にも国内ではDVD化されていないジョン・スタージェス監督のこれもうれしいところ。
日本人の勲章(1955)
http://www.wowow.co.jp/schedule/ghtml/020020001V1.html

 また、スピルバーグの『ミュンヘン』に合わせて放送される「ミュンヘン 真実の暗殺者」という番組も気になります。英チャンネル4制作のドキュメンタリーで、日本初公開とのこと。
http://www.imdb.com/title/tt0778788/


 日本映画専門チャンネルでは「悪名」シリーズ特集が今月で終了。最後にマキノ雅弘監督のこれが出ます。
悪名一番勝負(1969) 
http://www.nihon-eiga.com/prog/108312_000.html


 ヒストリー・チャンネルでは、円谷プロ関連のドキュメンタリーが2つ。
http://www.historychannel.co.jp/rec/index.html#01
 怪獣デザイナー、高山良策の生涯を追った長尺のドキュメンタリー「怪獣のあけぼの」全12話と、「ウルトラの揺り籠 実録ウルトラQ、ウルトラマン誕生秘話」。どちらもDVD化されていますが、値がはるので手を出しづらかったという私のようなファンにはうれしい放送です。


 演劇専門のシアター・テレビジョンで、なんと「時空超越コメディ4連発! タイムスリップ・シアター」と題したSF特集が。
http://www.theatertv.co.jp/0705/tue.html
 演劇のことは何も知らないのですが、映画版に合わせて再演されたという「サマータイムマシン・ブルース2005」はちょっと見てみたいです。


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2007年04月02日
 ■ 4月の録画予定

 今月の目玉は、チャンネルNECOの鈴木英夫特集! なんと3ヶ月がかりで16本を放送するという大特集です。うれしいなあ。
 鈴木英夫は50年代から60年代なかばにかけて東宝で活躍した監督で、90年代前半に“再発見”されるまでは、ほとんど注目されることのなかった人です。そのため同時代の名匠巨匠に比べて知名度はいまだに低く、これまでもNHK-BSで小特集が組まれたり、日本映画専門チャンネルでインタビュー番組が放送されたり、WOWOWで大映時代の幻の作品が放送されることはありましたが、これほどのボリュームの大特集は初めてです。
 4月の放送分はこの5本(2日~)。

二人で見る星(1947)
魔子恐るべし(1954)
脱獄囚(1957)
花の慕情(1958)
その場所に女ありて(1965)

 まずは何といっても代表傑作『その場所に女ありて』がおすすめ。そしてデビュー作『二人で見る星』、『魔子恐るべし』『脱獄囚』などはおそらくCSにおいても初放送で、非常に珍しい作品ばかりです。5・6月の残り11本は何をやってくれるのか、今から楽しみで仕方がありません。

チャンネルNECOの特集ページ
http://www.necoweb.com/neco/program/category.php?id=429

 同チャンネルでは他に、森一生の『出獄四十八時間』が未見なので気になります。


 日本映画専門チャンネルでも、偶然、鈴木英夫の『続三等重役』(1952)が放送されます。また、市川崑の特集や、「悪名」シリーズの特集が続いているほか、『緯度0大作戦』が久方ぶりのテレビ放送解禁となります。


 WOWOWでは、サミュエル・フラーの小特集が!(22~24日)

鬼軍曹ザック(1951)
赤い矢(1957)
戦火の傷跡(1959)

 傑作『鬼軍曹ザック』を字幕付きで見られる日が来ようとは! そして、見る機会がないことではさらにその上をいく『戦火の傷跡』まで!! 『赤い矢』が今回もトリミング版なのだけは残念ですが、いずれにせよ驚くべき企画と言えます。

 WOWOWではもう1本、『パニック・フライト』がおすすめ(8日)。ウェス・クレイヴンが監督した2005年の殺人スリラーで、かなりの傑作だと思うのですが、残念ながら劇場公開されませんでした。エンドロールを除くと1時間15分しかないという、まるで40年代のBムービーのような奇跡的な作品です。ホラー映画ではありませんが、邪悪すぎて滑稽な悪役、戦うヒロイン、閉鎖空間の恐怖など、クレイヴンの好きな題材がふんだんに出てきます。


 その他、めずらしいところでは、

クローディアと貴婦人(1973)
 劇場公開されなかったのであまり知られていませんが、これはE・L・カニングズバーグの『クローディアの秘密』の映画化。大貫妙子「メトロポリタン美術館」のもとになった児童文学の名作ですね。『ナイトミュージアム』もヒット中だし、今見ても楽しいと思います。(CS GYAOチャンネル/5日他)
 これは原作。

Amazon.co.jp


キャブ・キャロウェイのハイ・デ・ホー(1947)
 これは初公開? キャブ・キャロウェイが自身の役で主演しているミュージカルだそうで、映画の出来はわかりませんが、演奏シーンは見ものだと思います。(シネフィル・イマジカ/7日~)
 曲目リストはこんな感じ。
http://www.imdb.com/title/tt0039460/soundtrack


 そのほか、4月ということでテレビシリーズの新番組が目につきますが、私が気になっているのは、児童ファンタジーの「マーニーと魔法の書」(NHK教育/3日~)、自白を引き出すのが専門の女性刑事を主役にした「クローザー」(LaLa TV/7日~)、誘拐事件の人質救出請負人を描いた「キッドナップ」(AXN/7日~)といったあたりです。

「マーニーと魔法の書」公式サイト
http://www3.nhk.or.jp/kaigai/marnie/index.html

「クローザー」公式サイト
http://lala.tv/programs/closer/

「キッドナップ」公式サイト
http://axn.co.jp/kidnapped/index.html


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2007年03月16日
 ■ 3月の録画予定(補遺)

 なんで抜けていたのかわかりませんが、大事な作品を忘れていました。
『ロイヤル・スキャンダル』(WOWOW 3月17日)

 エルンスト・ルビッチの最後から3番目の映画。これまた日本初登場です! ルビッチは撮影中に心臓発作で倒れ、オットー・プレミンジャーが完成させたという曰くつきの1本。どのぐらいルビッチ・タッチが残っているのかわかりませんが、とにかく見る機会のない映画なので楽しみです。



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2007年03月02日
 ■ 3月の録画予定

 毎月自分用に作っている録画リストから、同好の士に広くおすすめしたいものを抜き出してみました。

 まず、3月にテレビ放送される映画で、もっとも推したいのがこれ。
『ロック・ハンターはそれを我慢できるか?』(WOWOW 3月10日)

 変な邦題と言うなかれ。あの大傑作『女はそれを我慢できない』と対になる、フランク・タシュリンとジェーン・マンスフィールドのコンビの幻の傑作。ついに日本初公開です! 内容からいくと『男もそれを我慢できない』なんていう邦題でも良かったと思うのですが、原題 "Will Success Spoil Rock Hunter?" の感じを残したといったところでしょう。
(傑作の評価を疑うならIMDbの点数をご覧あれ)
http://us.imdb.com/title/tt0051196/

 WOWOWの旧作枠ではこれも見逃せません。
『魚が出てきた日』(3月3日)

 理由はわかりませんが、メジャー配給の話題作だったにもかかわらず、とにかくソフト化されない、知る限りここ20年ぐらいはテレビ放送もないという幻のSF映画です。今となっては大した内容ではないかもしれませんが、じつは見たことがないので、非常にうれしいです。

 邦画の旧作枠も、未見の映画ばかりで個人的にはうれしいラインナップ。松方弘樹特集だそうで、毎週日曜にこの4本が放送されます(WOWOW 3月4日~)。
『刑務所(ムショ)破り』
『秘剣破り』
『玄海遊侠伝 破れかぶれ』
『兇状流れドス』
 すべて大映京都作品。1969~70年という微妙な時期の映画なので決して傑作ではないでしょうが、順に、池広、池広、マキノ、三隅という顔ぶれでは、素通りできるわけがありません。すべて未DVD化。CSなどでもあまり放送された記憶のないものばかりです。ちなみに『秘剣破り』は『薄桜記』の、『玄海遊侠伝~』は『日本大侠客』のリメイクとのこと。

 次いでおすすめは、チャンネルNECOがついにやってくれました! 『大番』シリーズ4作の一挙放送です(3月8日~)
『大番』
『続大番 風雲篇』
『続々大番 怒濤篇』
『大番 完結篇』
 加東大介演じる株屋のギューちゃんの一代記。10数年ぶりに見るのですが、とにかく無類におもしろく、それでいて黄金時代の邦画らしい風格もあって、見惚れてしまった記憶があります。私はこれで千葉泰樹という監督にはまりました。「成瀬巳喜男になれなかった男」の、ひょっとしたら最高傑作かもしれないシリーズを、ぜひ大勢の人に見てほしいです。

チャンネルNECOの特集ページ
http://www.necoweb.com/neco/program/category.php?id=413

 千葉泰樹は今月はもう1本あって、三船敏郎主演の1957年作品とのこと。これも楽しみです。
『下町(ダウンタウン)』(チャンネルNECO 3月4日~)

 めずらしいところでは、三隅研次の初期作も。
『三日月秘文』(チャンネルNECO 3月5日~)

『港まつりに来た男』(東映チャンネル 3月6日~)
 マキノ雅弘の1961年作品で、意外と見る機会のない映画です。今月は東映チャンネルは止めようと思っていたのに、これ1本が決め手で継続と相成りました。

 日本映画専門チャンネルでは、2ヶ月目に入った「悪名」シリーズ一挙放送のほか、快楽亭ブラックの監修による落語映画の特集が! これがとにかく凄いラインナップで、マキノが監督した藤山寛美の『色ごと師春団治』のほかは、曲谷守平の『金語楼の三等兵』だの、これまた千葉泰樹の『羽織の大将』だの、見たことも聞いたこともないような作品が目白押し。やればできるじゃん!と背中を叩きたくなります(誰の?)。

日本映画専門チャンネルの特集ページ
http://www.nihon-eiga.com/rakugo/hoso/index.html

 また、これはDVD化されていますが、シネフィル・イマジカで、『歓喜に向って』『夏の遊び』そして『不良少女モニカ』と、初期のイングマール・ベルイマンのいちばんおいしいところが放送されるのも見逃せません。ベルイマンは最初の10年が大好き、というダメなファンなので。

 そのほか、映画ではありませんが、ディスカバリーチャンネルで、アジアのホラー映画についてのドキュメンタリーが放送されるそうで、これも気になります。
http://japan.discovery.com/series/index.php?sid=746
 
 

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2007年02月12日
 ■ グラミー賞雑感

 仕事をしながら横目で見ていただけなので、偉そうなことは言えないのだが。

(1)ディクシー・チックス圧勝の結果には、めちゃめちゃ違和感を覚える。
 あれからたった3年しか経っていないのに、自分たちがチックスにした仕打ちを忘れたかのように拍手喝采できる神経がわからない。
(念のために書いておくと、私はディクシー・チックスの音楽はものすごく真っ当なもので、人気があるのは当然だと思っています。個人的にはナタリーよりも彼女のパパの音楽を聴くことのほうが多いけどね)

(2)プレゼンターでアル・ゴアが出て来たのに、誰もブーイングしない。
 他の場所ならともかく、音楽業界がティッパーとの戦いを忘れていいのか?

(3)オーネット・コールマンがプレゼンターで登場。
 黒に金色の模様の入ったへんなスーツ着用。隣に並んだナタリー・コールより頭ひとつ背が低くかった。スピーチライターの書いたつまらない言葉を言わされていて可哀想でした。

(4)ジェイムズ・ブラウンに捧げたステージで、最後にちゃんとダニー・レイが出てきたのは偉いと思った。泣きそうになりました。



Taking the Long Way (2006)
Amazon.co.jp(米盤)
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2007年02月11日
 ■ ライン・オブ・ビューティ 愛と欲望の境界線

 紹介しようかどうしようか、いささかの躊躇があったのは、ひとつにはゲイのセックスをテーマ(のひとつ)にした作品だから。つまり、よく知らないことについて軽々に発言するのはためらわれるということ。もうひとつは、またしてもWOWOWの放送作品ということで、片寄って見えるのではないかということ。仕事の都合上、放送に先立って見ていることが多いので、これはお許し願いたい。

 というわけで「ライン・オブ・ビューティ 愛と欲望の境界線」である。英国BBCが制作し、昨年5月に放送した60分×3回のテレビミニシリーズ。日本では本日11日(日)の放送が初公開となる。

公式サイト
http://www.wowow.co.jp/drama/lob/

 この美青年3人の水浴び写真を見ただけで、もうダメという人もいるだろうし、うれしいという人もいるだろうが、実際の内容はこの印象よりもずっと複雑で、一筋縄ではいかないテレビドラマである。挑戦的で、非常によくできている、と思う。

 数多の文学作品の映像化を手がけてきたBBCだが、これはイギリス人作家アラン・ホリングハーストの同名長篇が原作。2004年のブッカー賞受賞作だが、邦訳はない。まったく知らない作家だったので調べてみると、サマセット・モーム賞受賞作の『スイミングプール・ライブラリー』(早川書房)がかつて邦訳されており、日本でも知名度ゼロというわけではないようだ。

『スイミングプール・ライブラリー』の翻訳者・北丸雄二による言及
http://www.kitamaruyuji.com/dailybullshit/2004/10/post_63.html

翻訳家・宮脇孝雄による原著の紹介
http://www.alc.co.jp/eng/hontsu/book/0504/01.html


 物語の舞台は、サッチャー政権下で景気回復の波に乗り、ささやかなバブル景気にわく80年代のイギリス。大学院生でこれから社会に出ようとするゲイの青年ニックの成長と、彼が寄宿することになる邸宅の主人で、保守党の有力国会議員であるジェラルド・フェッデンの野望が、並行して描かれていく。

 原作がどうなっているか知らないが、全3回という構成を、それぞれ83年、86年、87年に起きたことをじっくりと描くのに振り分けたのがうまい。脚色を手がけたのは、「高慢と偏見」などBBCで数多くの文学作品を担当し、映画『ブリジット・ジョーンズの日記』も書いた、70歳になる大ベテランのアンドリュー・デイヴィス。

 そして、とにかく驚かされるのが、恋愛とセックスの描写の生々しさ。これをテレビで放送したBBCの胆力には敬服するしかない。ゲイの恋人たちの、相手の探し方から、互いのどこに魅力を感じるかの感覚、実際のセックスの次第までが、ノンケでのんきな人間にもきちんとわかるように、ていねいに描かれている。

「ライン・オブ・ビューティ」という題は、吸うために一列にしたコカインのことであり、ニックが書いた原稿の題名でもある。そこには、「美は尽きぬもの」という、ある種の楽天主義と傲慢さの含意がある。
「政治家の家庭に入り込んだゲイの青年」という特殊な物語を描いているようでいて、じつはもっと普遍的な、静かな悲痛さとでもいったものが、全篇を通じて見る者の心に降り積もっていく仕掛けで、見始めると最後まで見ずにはいられない。

 もうひとつびっくりしたのは終わり方。ニックと議員の娘キャサリンのその後をめぐって、そこまで張ってきた伏線をわざと回収せず、見る者を中吊りにして終わる。エンタテインメントとして完結することを良しとしない、見る者にバトンを託すようなこのエンディングこそが、このドラマのもっとも挑戦的な部分かもしれない。

 音楽ファンにとっては、冒頭のニュー・オーダーに始まって、同時代のヒット曲が多数、さりげなく使われているのも楽しめる。とはいえ最大の驚きは、キンクスの「サニー・アフタヌーン」と、ローリング・ストーンズの「ゲット・オフ・マイ・クラウド」が演奏される場面に尽きるのだが。



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2007年02月07日
 ■ ロッキー・ホラー・ショー

 海外テレビシリーズといえば、SFドラマを見るのは当然として、それ以外だと30年来の刑事ドラマ・ファンである。70年代の「刑事コジャック」、80年代の「女刑事キャグニー&レイシー」、90年代の「ホミサイド 殺人捜査課」と、時代と共に先鋭化してゆく傑作を、その時々に楽しめたのは幸せだったと思う。
 ちなみに「ヒル・ストリート・ブルース」は巡り合わせが悪くてほとんど未見。「NYPDブルー」も日本で放送された第3シーズンまでしか見ていないので、残念ながらスティーヴン・ボチコについては多くを語れない。90年代だと「刑事ナッシュ・ブリッジス」も好きでしたな。

「ホミサイド 殺人捜査課」というのは本当にすごくて、刑事ドラマも行くところまで行ってしまったという印象があったわけだが、当然のことながら、先鋭化すればするほど、誰もが見て楽しめるというわけにはいかなくなる。テレビシリーズなんていうのは人気あってのものだから、こうなると一度リセットするしかなくなる。
 そんなわけで、ある種の揺り戻しというべき「CSI:科学捜査班」が大ヒットして以降の00年代の刑事ドラマには、個人的にはあまり興味がもてず、「ザ・シールド ルール無用の警察バッジ」ぐらいしかまじめに見ていないわけだが……と、長くなったがここまでが今回の前置き。

 ちょうどいまWOWOWで再放送されているテレビシリーズ「コールドケース2」は、典型的な「CSI:科学捜査班」以降の刑事ドラマのひとつだが、明日8日(木)放送の第21話だけは、私のような中年ファンにも見逃せない内容。"Creatures of the Night" というエピソード・タイトルからもわかるように、なんと1回をまるごと費やしての、映画『ロッキー・ホラー・ショー』へのオマージュなのだ。

公式サイト
http://www.wowow.co.jp/drama/cold/

「コールドケース」は、過去の未解決事件を再捜査する部署の物語。この回は、1977年の殺人事件に、『ロッキー・ホラー・ショー』を上映中の映画館が関係していたことがわかってくるという展開。それだけでなく、映画で32年前にブラッドを演じたバリー・ボストウィックが、重要な役でゲスト出演している。

 刑事ドラマとしては大して深みのない話で、真相がわかる過程にも何のひねりもないのだが、そのぶん徹底して『ロッキー・ホラー・ショー』の引用にこだわっているので、大変なことになっている。回想シーンで内容に合わせて使われる歌の数々、画面合成からテロップのロゴまで似せた凝りようが楽しい。
 証人と中年の刑事だけが『ロッキー~』の話で盛り上がっていて、若い刑事には何のことやらさっぱり判らないという場面もおかしかった。脚本家なのかプロデューサーなのかわからないが、スタッフに『ロッキー・ホラー・ショー』の熱烈なファンがいることはまちがいないようだ。

『ロッキー・ホラー・ショー』好きなら必見!

Amazon.co.jp(2枚組)
Amazon.co.jp(通常版)


これを読んだ友人が作ってくれたドットアニメ。
楽しいです。(2007/2/11追加)

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2007年01月09日
 ■ エキストラ:スターに近づけ!

 昨夜WOWOWで放送された「エキストラ:スターに近づけ!」の第3話を見たら、あまりの面白さにテレビの前で転げ回ってしまった。ケイト・ウィンスレットいいなあ。

「エキストラ:スターに近づけ!」は英BBCで2005年に始まったテレビシリーズで、中年の売れないエキストラ俳優が、「セリフのある役」を求めて四苦八苦するというシットコム。毎回いろいろな撮影現場で有名スターと遭遇するしかけで、ゲストの豪華さが売りものになっている。
 ベン・スティラーがゲスト出演した第1回を見たときは、あまりにも“いたたまれない”自虐的なユーモアに恐れをなしてしまったのだが、「ケイト・ウィンスレットの回は面白いですよ」と教えてくれる人がいたので、もういちど見る気になったのだった。

 公式サイト(第1シーズン全6話)
 http://www.wowow.co.jp/drama/uk/ex/

 そもそも、いたたまれないシチュエーションが生み出す、身もだえしたくなるような意地悪な笑いは嫌いではない。いちばん好きなシットコムは「となりのサインフェルド」、二番は「あなたにムチュー」なので、世の善男善女の方々よりは耐性があるほうだと思っている。それでも、とくにイギリス流の底意地の悪さにはついて行けない時があって、やはりBBC制作でヒットした「The Office」も、そのせいで途中で脱落してしまったのだった。
 で、その「The Office」で一躍イギリスを代表する人気コメディアンになったリッキー・ジャーヴェイスとスティーヴン・マーチャントのコンビが、満を持して送り出した新作が、この「エキストラ:スターに近づけ!」、ということなのだと思う。主役のリッキー・ジャーヴェイスの芸風が苦手なのだから、この番組は端から鬼門――のはずだったのに、昨日の第3話を見て、録画してあった第2話もあわてて見て、すっかり脱帽してしまったのだった。

 うまいのは、スター本人のイメージを利用した人物設定の作り方。ベン・スティラーは増長した勘違い野郎で、むりに社会派を気取っている。ケイト・ウィンスレットはああ見えてじつは気さくな人柄で、気さくすぎてテレフォン・セックス指南までしてくれる――なんていうバカ展開を、本人も楽しそうに演じているのが可笑しすぎるのだ。
 ノミネート4回でいまだにオスカーがとれないという自虐ネタも全開で、そうじゃなきゃホロコースト映画の尼僧役なんかやらないワと言い放つビッチぶりも最高。映画のシーンになるとスコープ・サイズに切り替わる芸の細かさや、ロンドン近郊の撮影所の内部がちらちら見られるのもうれしくなる。

 第2話はロス・ケンプ篇で、これはさらに傑作だった。ロス・ケンプといっても日本での知名度はゼロに近いだろうが、テレビシリーズ「S.A.S. 英国特殊部隊」のサージェント・ヘンノ役でスターになった人。じつはこの「S.A.S. 英国特殊部隊」(の最初の2シーズン)は本当に好きだったので、ロス・ケンプにはそれなりに思い入れがあるのだが、役と自分を混同している成りきり男という設定がいかにもそれらしく、さらに後半でもうひとひねりしてあって笑って泣かせる話になっている。ちょっとだけ出てきて場をさらうヴィニー・ジョーンズも最高。

 そんなわけで、リッキー・ジャーヴェイスの芸風にも耐性がつき(人はこうして日々強くなっていく)、相棒のスティーヴン・マーチャント演じる無能なエージェントに爆笑し、さらにこのあとはサミュエル・L・ジャクソンやパトリック・スチュワートの回が控えているというのだから楽しみで仕方がない。
 そして気になって調べてしまったのだが、第2シーズン全6話のゲストは、オーランド・ブルーム、デイヴィッド・ボウイ、ダニエル・ラドクリフ(とダイアナ・リグとワーウィック・デイヴィスってどんな話なんだよ!)、コールドプレイのクリス・マーティン、イアン・マッケラン、ロバート・デ・ニーロだというからすごすぎる。これもWOWOWが放送してくれることを願いつつ、来週の放送が待ちきれない。


The Office allcinema IMDb

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となりのサインフェルド allcinema IMDb

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S.A.S. 英国特殊部隊 allcinema IMDb

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