2008年07月25日
 ■ SFマガジン9月号

 7月25日発売の雑誌「SFマガジン」9月号で、おなじみ新作DVDの紹介と、製作ニュース、DVD&テレビ注目作のコラムを書きました。

SFマガジン2008年9月号

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 今月、短評を書いたDVDはこの8本。

フランケンシュタインX 新種誕生  IMDb amazon.co.jp
エイリアン・ライジング  IMDb ぽすれん
エックスゲーマー  IMDb amazon.co.jp
スピーシーズ4 新種覚醒  allcinema amazon.co.jp
バトルフィールドTOKYO  allcinema amazon.co.jp
フライト・デスティネーション  IMDb amazon.co.jp
サウスランド・テイルズ  allcinema amazon.co.jp
プテロドン 零式戦闘機VS翼竜軍団  allcinema Kinokuniya

 今月ははっきり言って力作・佳作だらけで、紹介するにも力が入りました。まあ中にはこれはぜったい見ちゃダメというような作品もありますが、そのあたりはぜひ誌面で確かめてみて下さい。


 ちなみに今月号の特集は「中国SF特集」。雑誌「科幻世界」翻訳版5月号で充実した日本SF特集が組まれたことへの返礼というか、対を成す試みになっているようです。

科幻世界 2008年5月下半月号
http://shop.sfw.com.cn/goods-553.html
 

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2008年06月25日
 ■ SFマガジン8月号

 6月25日発売の雑誌「SFマガジン」8月号では、連載ページで新作DVDの紹介と、製作ニュース、DVD&テレビ注目作のコラムを書きました。

SFマガジン2008年8月号

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 今月、短評を書いたDVDはこの8本。

ペルソナ allcinema amazon.co.jp
巨匠とマルガリータ allcinema amazon.co.jp
デス・ロード 染血 allcinema IMDb
パンプキンヘッド 復讐の謝肉祭 allcinema IMDb
サイボーグ・ソルジャーズ IMDb
ガーゴイル・トゥルーパーズ allcinema IMDb
ディストラクション 合衆国滅亡 IMDb
トレマーズ・ライジング allcinema IMDb

 どれが隠れた傑作で、どれが意外な拾いものか、ぜひ誌面で確認してみて下さい。

 ちなみに今月号の特集は「スプロール・フィクション特集IV(監修:小川隆)」。ベンジャミン・ローゼンバウムなど6篇の翻訳短篇が読めます。

 また、『スターシップ・トゥルーパーズ3』の公開に合わせて、エド・ニューマイヤー(監督・脚本)のインタビューが載っているのにはびっくり! 
 このエド・ニューマイヤー(脚本家)と、フィル・ティペット(特殊効果)、ジョン・デイヴィソン(プロデューサー)の3人が、SFを絆に一致団結し、ポール・ヴァーホーヴェンを支えて『ロボコップ』『ロボコップ2』『スターシップ・トゥルーパーズ』を作ってきた経緯が私は大好きなのですが、この名トリオも前作『スターシップ・トゥルーパーズ2』を最後に解散。新作ではエド・ニューマイヤーだけが残って頑張っています。

 そういえば、まだ入手していませんが、今月は「ミステリ・マガジン」の特集も「幻想と怪奇(監修:中村融)」なので、読むのが楽しみです。

ミステリ・マガジン2008年8月号

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2008年06月20日
 ■ アメリカ映画ベストテン(SF篇)

 AFI(アメリカ映画協会)恒例のベスト・アメリカ映画ランキング。おととい発表された今回のベスト企画は、アニメーションから史劇まで、10ジャンルのベストテンで合計100本という新趣向になっています。

http://www.afi.com/10top10/

 正直言って、なんだか首をひねるような映画が入っているベストテンが多いのですが、そんな中では、SFはいちばんましな結果になっているような気がしました。

AFIの選ぶアメリカ映画ベストテン(SF篇)
http://www.afi.com/10top10/scifi.html

(1) 2001年宇宙の旅
(2) スター・ウォーズ
(3) E.T.
(4) 時計じかけのオレンジ
(5) 地球の静止する日
(6) ブレードランナー
(7) エイリアン
(8) ターミネーター2
(9) ボディ・スナッチャー 恐怖の街
(10) バック・トゥ・ザ・フューチャー

 さて、個人的な好き嫌いを別にして、SF映画史にもっとも貢献したアメリカ映画を10本選ぶとしたら、私ならどうするか。50年代の映画をもう1本入れて(『放射能X』『原子怪獣現わる』『禁断の惑星』のどれか)、90年代以降の代表として『マトリックス』も入れて、『時計じかけのオレンジ』と『エイリアン』を外して、『遊星からの物体X』も入れたいので『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にも泣いてもらって、あと『ターミネーター2』より『ターミネーター』のほうが重要ではないかと。

 これだけ厳選しちゃうと順位を付けるのは非常に難しいんですが、無理に並べるとしたらこんな感じでしょうか。

私の選ぶアメリカ映画ベストテン(SF篇)

(1) 2001年宇宙の旅
(2) 地球の静止する日
(3) スター・ウォーズ
(4) 放射能X
(5) ブレードランナー
(6) ターミネーター
(7) ボディ・スナッチャー 恐怖の街
(8) マトリックス
(9) 遊星からの物体X
(10) E.T.
 
 こうして見ると、好き嫌いを別にして、と言いつつ、選者のSF映画史観が出てしまうのが、おもしろいところではないかと思います。 
 

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2008年06月18日
 ■ ギャラクティカ通信

 今日発売の雑誌「テレビブロス」6/21号で、SFテレビシリーズ「ギャラクティカ」の宣伝記事を2ページ書きました。題して「ギャラクティカ通信」。「バトルスター・ギャラクティカ」のファン、SFテレビドラマのファンにぜひ読んでいただきたい、ひじょーにふざけた内容になっています。「螢雪ジェダイ」が好きだった人にもおすすめです。

テレビブロス6/21号

公式サイト


「バトルスター・ギャラクティカ」(DVD題「ギャラクティカ」)については、スーパー!ドラマTVでシーズン1の放送が始まったときに、公式サイトで5回にわたってコラムを書かせてもらいました。とにかく作品がすごいので、応援するほうもつい力が入ってしまい、まじめな内容については、ここで書き尽くしてしまった感があります。

書き下ろしコラム(第1~5回/第1回は池田敏執筆)
http://www.superdramatv.com/line/galactica/features/column_01.html

書き下ろしコラム(第6回)
http://www.superdramatv.com/line/galactica/features/column.html


 そんなわけで、今回のテレビブロスの話は、まじめな内容だったら正直言ってネタ切れです、と言おうと思っていたのですが、なんと編集者の方も「ふまじめ大いに結構!」と乗ってくれたので、喜び勇んで書かせてもらいました。パロディ新聞なんてまるで中学高校生のころに還ったようですが、じつはこういうの大好きなんですよね。

 SFオンラインの「螢雪ジェダイ」連載では、担当編集者として渡辺麻紀さんの手伝いをしました。今回はあの楽しさに少しでも近づければ、と頑張ってみましたが如何でしょうか。
 

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2007年07月01日
 ■ あれが最後の8匹とは思えない



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 前回とりあげた『ケイヴ・フィアー』も含め、6月25日に出たSFマガジン8月号では、この8本のDVDを紹介しています。

ケイヴ・フィアー (6/22レンタル) IMDb
赤ずきんの森 (7/6レンタル・発売) IMDb
遺体安置室 死霊のめざめ (7/6レンタル・発売) IMDb
ニーベルングの指輪 (7/6レンタル・発売) IMDb
エイリアン・インフィニティ (7/6レンタル) IMDb
怪奇!兎男 (7/6レンタル・8/24発売) IMDb
破壊神 (7/6レンタル・発売) IMDb
リヴァイアサン (7/6レンタル・8/3発売) IMDb

 いずれも劇場未公開のSF・ホラー・ファンタジー映画で、未公開というからには当然のことながら当たり外れがあります。どれが当たりでどれが外れかはSFマガジンを読んでもらうとして、ここで書きたいのは、近年、このジャンルのリリース本数が急増しているということです。

 前任者の渡辺麻紀さんからこのページを引き継いだのが9年前の1998年のこと。SF・ホラー・ファンタジー(と思しき)映画の未公開作は、毎月奔流のようにリリースされているので、どうせならできるだけ多くの作品を実際に見て、出来不出来ではなく総体としてジャンルを捉えたい、この分野の定点観測を長く続けたい、と編集部に提案して、毎月8本の枠で短評を書くようになったわけです。

 月に8本という数字はその後もずっと適正で、おおむねジャンルを網羅できていたのですが、2005年の後半ぐらいからじりじりと該当作の本数が増え始め、最近では20本近い候補の中から8本を選ぶということも珍しくなくなってしまいました。

 ちなみに、上記の8本と同じ6月11日~7月10日の期間内には、他にこれだけの候補作をリストアップしていました。
『デスゲート』『デスハウス 悪魔の館』『ヒューマノイド』『CE4 エイリアン・アブダクション』『ソーラー・ストライク セカンド・メルトダウン』『学校の都市伝説 トイレの花子さん』『プレヒストリック・パーク』『エイリアン・インパクト ザ・ビギニング』『ミノタウロス』『怪談新耳袋 絶叫編 右・左』『アンダーブラッディ』『ブロンクス・バーニング』

 こうなるとジャンルを網羅しているとはとても言えず、せっかく選んで紹介する以上、できるだけ面白そうなもの、特長のあるものと考えてしまうわけで、出来のいいものも悪いものもひっくるめて全体を俯瞰するという意図は、やや薄れつつあります。

 ちなみに、絞り込むときにまず外すようにしているのは、SFやホラーやファンタジーである必要が必ずしもない作品。
 たとえば、工場跡地などがあると、そこで低予算・自主製作のアクション映画を撮らなければならないと思う人が世界中にいるようで、私はこれを「廃工場症候群」と呼んでいますが、そういうものはたいてい、SFアクションだったりホラー・アクションだったりの形をとるわけです。しかしどう考えても見せたいのはSFやホラーの設定ではなく、撃ち合いや格闘のシーンなので、がっかりさせられることが多いのです。

 逆に見どころがはっきりしていれば、どれほどひどい出来でも紹介したいわけで、今月で言えば『怪奇!兎男』がそれにあたります。
 これはすごいですよ。「あまりにひどかったので、口直しに『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』を見てしまった」と言った人がいたぐらいで(実話)、古今東西の最低映画のベスト(ワースト?)テンを決める時があれば、ぜひ予選に出したいぐらいです。

『怪奇!兎男』公式サイト
http://www.crazyralph.com/crkotten.htm
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2007年03月20日
 ■ スペースオペラを舐めてはいけない

 3月2日に出たDVDです。なかなか面白かったのでおすすめしておきます。
「ピースキーパー・ウォー 最終大戦」

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 原題を "Peacekeeper War" といって、3時間を超えるテレビムービーの大作です。2004年の作品で、じつはテレビシリーズ「ファースケープ 宇宙からの帰還」のスピンオフ完結篇なのです。
「ファースケープ 宇宙からの帰還」というのは、1999年に始まったSFテレビシリーズで、2003年までに4シーズン全88話が作られました。日本では紹介のされかたがちぐはぐだったので、結局、最初の2シーズン分しか放送もソフト化もされず、人気もいまひとつ盛り上がらなかったように思います。

 6年前に私がSFマガジンに書いた短評はこれ。

ファースケープ 宇宙からの帰還
Farscape
99年英・米■企画・脚本ロックニ・S・オバノン■製作総指揮ブライアン・ヘンソン、他■出演ベン・ブロウダー、クローディア・ブラック■テレビシリーズ■徳間ジャパンより11/23発売開始(全11巻)
NASAの技術者が試験飛行中にワームホールに呑み込まれ、未知の宇宙へ。圧政者のもとを逃れた囚人船に乗り組み、さまざまな異星人と共闘しながら、故郷への道を探る。エキゾチックなスペースオペラの人気シリーズから第1シーズン22話をビデオ化。飄々とした味わいは英共同制作ゆえか。

 英米合作と書いていますがこれは間違い。正しくはアメリカ・オーストラリア合作です。謝して訂正しておきます。「エイリアン・ネイション」「シークエスト」のプロデューサー、ロックニ・S・オバノンが企画した第三のシリーズで、製作はジム・ヘンソン・プロ。撮影はオーストラリアで行われました。

 私は最初の数話を見たきりだったのですが、今回、完結篇を見て、こんなに面白いなら、もっとちゃんと見ておけばよかったと反省しました。
 打ち切りが決まったあと、物語をちゃんと終わらせるべく、プロデューサーが執念で完成させた完結篇――という成立事情は『セレニティー』(についてはこちら)に似ています。硬派な宇宙SFとはちょっと違う、今どきのスペースオペラをめざした姿勢も共通しています。

 宇宙SFのテレビシリーズというと、どうしても「スター・トレック」の歴代シリーズや「バビロン5」、今なら「バトルスター ギャラクティカ」のような、それ相応の科学性と、現代社会とリンクするテーマを持った、硬派な作品に目が行きがちです。実際、これらのシリーズが各時代を代表する名作なのは間違いのないところなんですが、主流があれば傍流もあるわけで、「ピースキーパー・ウォー 最終大戦」は、傍流の魅力と楽しさをいいかたちで実現した作品なのです。

 この完結篇では、主人公のアメリカ人宇宙飛行士ジョンは、出会った当初は喧嘩してばかりだった女戦士エアリンと、どこでどうなったのか相思相愛の仲になっていて、エアリンはすでに妊娠しています。しかし、結婚式を挙げようとするたびに宇宙規模の横槍が入り、2人は否応なく、宇宙を二分する二大勢力の最終決戦に巻き込まれて、恒久平和のためにジョンはついにピースキーパーとしての役割を果たすことになります。

 魅力的なキャラクター、エキゾチックな設定、やたらとスケールの大きな物語という、スペースオペラの三種の神器を揃えた上に、口八丁手八丁のヒーロー、気っぷのいいヒロイン、活きのいい会話とくれば、面白くならないわけがありません。結婚式の繰り返しギャグは『スター・トレック ネメシス』にもありましたが、ここではそれがメインプロットなので、世にも珍しい「結婚SF」と呼びたくなります。

 クライマックスではあっと驚く有名SF映画の引用もあって、椅子から落ちそうになりましたが、これは見てのお楽しみということで。

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2007年02月03日
 ■ リック・ベイカーに会いに行く



「会いに行く」などと図々しく出ましたが、今回はイベントの紹介です。

アカデミー・シネマフェスティバル in 丸の内 SFXで観るアカデミー賞の世界 アニマトロニクス展 IT'S ALIVE」(長いよ)という展覧会が、東京駅の真正面、丸ビルの1階で、昨日から始まりました。2月14日(水)までの13日間、入場無料で、映画の撮影で実際に使われたアニマトロニクスを見ることができます。

公式サイト
http://www.wowow.co.jp/79/fes/

 展示物は、『帝国の逆襲』のヨーダから『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』のアスランまで全21体! といっても、展示用モデルやコンセプト模型も含まれているので、撮影に使われたアニマトロニクスの実物で、内部の機械仕掛けがじっくり見られるものとしては、『マイティ・ジョー』のジョーの右腕と頭部、『リトルショップ・オブ・ホラーズ』のオードリーII、『メン・イン・ブラック2』のエイリアン4体といったところが注目でしょう。

 昨日は12時から会場でオープニング・セレモニーが行われ、そのためになんと、リック・ベイカーが来日するというので、鷲巣義明、神武団四郎、殿井君人というこの分野に強い映画ライター諸氏を誘って、急遽かけつけました。


 リック・ベイカーの開会の辞は以下のようなものでした。

「イッツ・アライヴ!というこのショーの題名はぴったり合っています。フランケンシュタイン博士がモンスターが動き出したときに叫んだ言葉なんですが、私には彼の気持ちが非常によくわかります。私も同じ経験を何度もしているからです。私の造ったクリーチャーは、肉と骨のかわりにゴムやアルミやファイバーグラスが、筋肉のかわりにロッドやケーブルが使われているわけですが」

「私は自分の仕事がたいへん気に入っています。脚本には通常、クリーチャーの説明はほんの一言二言しかありません。そこですぐに、それがどんな風に見えるのか、頭の中で思い描いてみます。それから、昔はペンと紙を使っていましたが、平面上でコンセプト・スケッチを描き、次に立体モデルを作ってみるわけです。つまり何が言いたいかというと、最初はぼんやりとしたアイデアでしかなかったものが、やがてある日、自分の目の前に座っているわけですね。それが実際に完成し、初めて電源を入れてジョイスティックを操作し、動き出すときの感動は、何ものにも代えられないものです」

「ですから、私と私の友人たちが造ったこれらのアニマトロニクスをご覧になって、同じ感動を少しでも味わっていただければうれしいです」

 アニマトロニクスというのは要するに、映画の撮影現場で使われる遠隔操作のロボットのことで、原形をさかのぼればサイレント時代の初期からあるものですが、現在のように複雑で精巧なものが登場し、「アニマトロニクス」と呼ばれるようになったのは、まさにこのリック・ベイカーのような人々が活躍するになった70年代後半以降のことです。

 特殊メイクの若き天才として登場したリック・ベイカーは、『狼男アメリカン』あたりからアニマトロニクスを手がけるようになり、まさにその『狼男アメリカン』で、新設されたばかりのアカデミー賞メイクアップ賞を受賞。以降オスカー6個を獲得する大活躍を見せました。

 現在のリック・ベイカーは、特殊メイク・アーティストであると同時に、アニマトロニクスを始め、さまざまな特殊効果を手がける工房の代表者でもあります。彼が率いるシノヴェイション・スタジオは、現在ハリウッドで活躍するクリーチャー・エフェクト・スタジオとしては、スタン・ウィンストン・スタジオ、アマルガメイテッド・ダイナミクス、ジム・ヘンソンズ・クリーチャー・ショップ、パトリック・タトポロス・デザイン社などと並ぶ、最大手の工房と言えるでしょう。

 今回の展示は、もとはといえば、ロサンゼルスのビヴァリー・ヒルズにあるアカデミー協会の本部で2006年5月に行われた展覧会がもとになっています。
 このときは、リック・ベイカーが自分の仕事の中でもっとも気に入っているという、『ハリーとヘンダーソン一家』のハリーも含まれていたのですが、今回はそれが来なかったのは残念でした。

「It’s Alive!: Bringing Animatronic Characters to Life on Film」の解説
http://www.oscars.org/press/pressreleases/2006/06.04.19.html

そのときに展示されたハリーの頭部
http://photos.oscars.org/previewimg.php?photoIDNumber=4477

 いずれにせよ、ロサンゼルス以外で巡回展示されるのは東京が初めてだそうなので、この機会にぜひ見ておくことをおすすめします。

 午後からは、場所を変えて新聞3紙によるリック・ベイカーへの取材が行われましたが、4時間ほとんど休みなしのインタビューに、つねに誠実に答えている姿が印象的でした。明日4日の読売新聞にイベント告知の全面記事が載るそうなので、楽しみです。



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2007年01月04日
 ■ 2006年未公開DVDベストテン

 劇場未公開作のベストテンは毎年、映画秘宝の投票コメントにむりやり追記していたのですが、今年は書きそびれたのでこちらに載せておきます。
 SF・ホラー・ファンタジーのジャンル限定で。


1 セレニティー
Serenity  allcinema IMDb
 15話で打ち切られたテレビシリーズ Firefly の遺灰の中から不死鳥のごとく甦った劇場用SF大作。今きちんと製作費をかけてスペースオペラを作るとこうなる、という立派な見本といえる。「遠未来の宇宙に舞台を移した西部劇」というコンセプトに前向きな意味があるのもうれしい。物語はビターで大人向け、視覚効果もすばらしい仕上がり。ファンを味方に付けて、自分の作りたかったものに立派にけりをつけたジョス・ウェドンは偉い。

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2 ミラーマスク
MirrorMask  allcinema IMDb
 ニール・ゲイマンとデイヴ・マッキーンの本格的な映画進出作! というだけでも見逃せない奇々怪々な異世界往還ファンタジー。『サンドマン』などでおなじみ、マッキーンお得意の絵と写真をコラージュしたシュールレアリスティックなイメージが、そのままデジタルアニメでごちゃごちゃ動くのだからたまらない。話はサーカスの少女をヒロインにしたジュヴナイルなんだけど、ニール・ゲイマンなのでもちろん、大人が見ても胸に迫ります。

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3 ミート・オブ・ザ・デッド
Dead Meat  allcinema IMDb
 アイルランドの荒野から現れたとびきりのゾンビ映画。ゾンビ映画というのは低予算の自主製作でも作れるため、伝統的に、世界中で新人監督の登竜門になってきたわけだが、そのぶん独自のアイデアや世界観が厳しく問われるわけで、突出した傑作を作るのもなかなか難しい。これが初長篇という監督・脚本のコナー・マクマホンは、プロットをできるだけシンプルにすることで、さまざまな伝説を育んできた原野の風景を生かし、ロメロ的なゾンビ像に縛られない想像力を見せてくれた。

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4 世界の終り(マスターズ・オブ・ホラー)
Masters of Horror: Cigarette Burns  allcinema IMDb
『ゴースト・オブ・マーズ』以来4年ぶりとなるジョン・カーペンターの新作で、テレビシリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」用に作られた60分の中篇。70年代にただ一度シチェス映画祭で上映されたきり忽然と消えた“呪われた映画”がある――という題材が題材なので、ホラー映画ファンに向けた小品かと思ったらとんでもない。『フリッカー、あるいは映画の魔』も真っ青の、手加減抜きの暗黒世界が待ち受けていましたよ。ノーマン・リーダス対ウド・キアーという配役もマル。

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5 エイリアンズ
Evil Aliens  allcinema IMDb
 原題も邦題もつまらなくて、まったく内容を表していないのが最大の欠点かな。『レザー・ブレイド』っていうおたくっぽいおねえちゃん吸血鬼アクション映画でデビューしたイギリスの新人監督ジェイク・ウェストが、7年ぶりにようやく完成させた第2作。ウェールズの孤島を舞台に、UFO番組の取材クルーと農夫3兄弟が、宇宙からの侵略者に決然と戦いを挑む。ストーンヘンジは空飛ぶ円盤の充電機だった! エイリアンはセックス殺人鬼だった! なんていうバカバカしいアイデアをちゃんと絵にして、徹底的にエロ・グロ・ナンセンスで押し切ったのがすばらし過ぎる。東京ファンタのオールナイトでかけたら拍手喝采だったろうなあ……。

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6 ベビー・ルーム(スパニッシュ・ホラー・プロジェクト)
Peliculas para no dormir: La habitacion del nino  allcinema IMDb
『ハイル・ミュタンテ! 電撃XX作戦』『マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾』のアレックス・デ・ラ・イグレシア監督の、じつは初の本格ホラー。スペイン版「マスターズ・オブ・ホラー」というべきテレビシリーズの1作だが、87分あるので立派な新作長篇として通用する。“呪われた館もの”かと思ったらポランスキーばりの“妄想ひきこもりもの”に転じ、「シュレディンガーの猫を救おうとする者は、自らも箱の中に閉じこめられてしまう」なんていうSFぽい説明も出てくるし、赤外線キャメラという小道具の使い方も抜群だし、もう言うことなし。

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7 ガリシアの獣
Romasanta: The Werewolf Hunt  allcinema IMDb
 19世紀にスペインのガリシア州で起きた実話をもとにしたという人狼映画。15件の殺人容疑で逮捕された行商人マニュエル・ロマサンタの正体に、姉を殺されたヒロインが迫る。言ってみれば『ジェヴォーダンの獣』のリアル・ホラー版。ファンタスティック・ファクトリー・レーベルの第5作だが、堂々たる歴史文芸大作のおもむきで、製作者ブライアン・ユズナの色は限りなく薄い。狼から人間へと“人化”する変身シーンも見もの。ラムジー・キャンベル原作の『ダーク・チャイルド 血塗られた系譜』でデビューしたパコ(フランシスコ)・プラサ監督の第2作。

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8 ターミネーターV
Guardian of the Realm  official IMDb
 ロサンゼルスを舞台にした自主製作のアクション・ホラー。18世紀から悪魔と戦ってきたという秘密組織ガーディアンに所属する男女が、現代に甦った魔王と対決する。『ガイバー』や『DRIVE 破壊王』に出ていたベテラン・アクション俳優の監督デビュー作で、主演は「パワーレンジャー」シリーズのスタントマンだった人。というわけで日本の特撮テレビシリーズと同じ匂いがするのがミソ。低予算なのに、意外なほど美術や視覚効果に手をかけて、ていねいに作られているのも好感が持てる。特撮ヒーローものが好きなら一見の価値あり。

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9 ゾンビキング
Zombie King and the Legion of Doom (Enter...Zombie King)  allcinema IMDb
 メキシカンプロレス+ゾンビ+ガレージロックという三題噺的な、趣味性まるだしの怪作。しかもやけに寒々しいカナダ映画。ゾンビを使って世界征服を企む悪のプロレスラーに、正義のマスクマンたちが挑戦する。アクション指導と助演は元WWEのベテラン選手エル・フエゴ――というわりにはどの対決シーンも驚異的にしょぼい。「ジョージ・A・ロメロ提供」の冠付き。

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10 ゾンビの帰郷(マスターズ・オブ・ホラー)
Masters of Horror: Homecoming  allcinema IMDb
 これはまあ本当を言うと大したことないのだけど、あまりにもストレートな政治的メッセージに敬意を表して。ジョー・ダンテの新作。

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 と、ここまでは新作のベストテン。日本初登場の旧作も別に紹介しておこう。

発掘作ベスト3


1 デイ・オブ・ザ・トリフィド
The Day of the Triffids  allcinema IMDb
『人類SOS!』なんか目じゃない、と名のみ高かったBBCによる81年のテレビミニシリーズ版がまさかの邦盤化。見られただけでもうれしいのに、イギリスSFらしい暗く恐ろしい終末SFで大満足。原作に忠実なトリフィドの造形もマル。

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2 Dr.ジキルvs.狼男
Dr. Jekyll y el Hombre Lobo  allcinema IMDb
 スペインの怪奇スター、ポール・ナッシーの72年の未公開作。スペインの古城からスウィンギン・ロンドンへといきなり舞台が移る意外性、ジキル博士の孫が祖父の残した薬を使って狼男を治療するという物語のサービス精神がうれしい、知られざる佳作。
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3 フレッシュイーターズ 人喰いモンスターの島
The Flesh Eaters  allcinema IMDb
 低予算の凡作として扱われることが多かった64年の未公開作だが、字幕付きの新マスターで見てみれば、撮影と編集に緊張感があって意外な拾いもの。銀色に発光する泡状の生命体が、巨大化するクライマックスも楽しい。
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