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なにが変かというと、ブレーキ/変速レバーが左右で違う。右(リア)がシマノで、左(フロント)がカンパニョーロ。右だけケーブルが外に出ているのが変で、握った感じもずいぶん違います。
左が壊れてシマノ本社で修理ということになったとき、行きつけの自転車屋さんがとても親切な人で、店にあった中古パーツを仮に付けてくれたのです。カンパの変速レバーに初めて触りました!
どこへ行くにもたいてい自転車で出かけます。東京23区内ぐらいなら、雨でなければ、フォーマルな用事でなければ、自転車で移動するのが当り前になっています。大した距離を走っているわけではありませんが、運動をしない身には体を動かす唯一の機会でもあります。
自転車の最大の魅力は、その自由度の高さ。人に迷惑をかけず、自分も安全なら、どんな乗り方をしてもいい。もちろん「合理的な乗り方」というのはあるけれど、そうでないからといって誰からも文句は言われない。好きな自転車に好きなように乗ればいい。そんな自由が好きなのです。
とはいえ、そんな私でもしないことはあります。
絶対にしないこと
- 車道を逆走する。
- 暗くなってから、前照灯(白)、後照灯(赤)なしで走る。
- 歩行者を驚かせたり、怖い思いをさせたりする。
- 走りながらケータイを使ったり、携帯プレイヤーで音楽を聴いたり、傘をさしたり、編み物をしたりする。
あまりしないこと
- 歩道を走る。
- ヘルメットとグローヴなしで走る。
- 一方通行(自転車を除く)を逆走する。
- 信号などで停車中に、サドルに座ったままでいる。
できればしたくないこと
- 夜走る。
- 雨の中を走る。
- 工事中の道路を走る。
- 駐輪場以外のところに長時間停める。
説明の必要な項目もあるかもしれませんが、日本の都市部で自転車に乗っている人なら、おおむね同意してくれるのではないでしょうか。
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7月25日発売の雑誌「SFマガジン」9月号で、おなじみ新作DVDの紹介と、製作ニュース、DVD&テレビ注目作のコラムを書きました。
SFマガジン2008年9月号
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今月、短評を書いたDVDはこの8本。
フランケンシュタインX 新種誕生 IMDb amazon.co.jp
エイリアン・ライジング IMDb ぽすれん
エックスゲーマー IMDb amazon.co.jp
スピーシーズ4 新種覚醒 allcinema amazon.co.jp
バトルフィールドTOKYO allcinema amazon.co.jp
フライト・デスティネーション IMDb amazon.co.jp
サウスランド・テイルズ allcinema amazon.co.jp
プテロドン 零式戦闘機VS翼竜軍団 allcinema Kinokuniya
今月ははっきり言って力作・佳作だらけで、紹介するにも力が入りました。まあ中にはこれはぜったい見ちゃダメというような作品もありますが、そのあたりはぜひ誌面で確かめてみて下さい。
ちなみに今月号の特集は「中国SF特集」。雑誌「科幻世界」翻訳版5月号で充実した日本SF特集が組まれたことへの返礼というか、対を成す試みになっているようです。
科幻世界 2008年5月下半月号
http://shop.sfw.com.cn/goods-553.html
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7月19日発売の雑誌「映画秘宝」9月号では、連載コラムで新作映画『ワン・ミス・コール』について書きました。連載83曲目はシュリークバックの「イル・ミステラ・デル・テンポ」です。
映画秘宝2008年9月号
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たった1曲の挿入歌が、映画全体の印象を大きく好転させることもあるのだ――というようなことを書いたのですが、ではそれはいったい誰の曲なのかと、エンドロールに目を凝らしていたら、シュリークバックだったので驚きました。
バリー・アンドリューズがいたころのXTCも好きだったので、脱退後に彼が結成したシュリークバックもしばらくは聴いていたのですが、断続的とはいえ、まさか現在に至るまでアルバムを出し続けているとは知りませんでした。この曲は10枚目のアルバム "Cormorant" からの選曲。アンディ・パートリッジとの再会セッションが話題になった05年作とのことですが、私はそれも知りませんでした。
Shriekback "Cormorant" (2005)
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HMV
iTunes Store (Japan)
2004年の邦画『着信アリ』を、アメリカ南部の学園都市に舞台を移してリメイクした『ワン・ミス・コール』は、7月19日より全国公開中です。
『ワン・ミス・コール』公式サイト
http://www.one-missed-call.jp/
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いよいよ今日の放送が日本初公開となる『殺人捜査線』。1958年の映画なので、じつに半世紀ぶりのお目見えになる。
冒頭1分、電光石火のバイオレンス・アクションに度肝を抜かれる――という仕掛けは『グランド・キャニオンの対決』と同じだが、『殺人捜査線』のほうが手が込んでおり、何が起きたのかすぐにはわからないほどの凄味がある。
『殺人捜査線』は、サンフランシスコを舞台にした犯罪アクション映画。密輸ヘロインの回収を請け負った殺し屋2人組と、市警察の刑事2人組の対決を、強烈なタッチで描いている。
もとはといえば1954年から6シーズンも続いた人気の警察テレビシリーズ「捜査線」からのスピンオフ映画で、シリーズ第1話を演出したドン・シーゲルを監督に迎え、のちに『夜の大捜査線』『センチュリアン』といった警察映画を手がける名手スターリング・シリファントが脚本を担当している。
ポスター中央の面通し場面
原題の「ラインナップ」とは、一列に並んだ被疑者の顔を見せるいわゆる「面通し」のこと。そのシーンや科学捜査の場面、警察専用の電話回線を使った機動捜査の場面などは、最先端の警察の勇姿を紹介する意味があったに違いない。
1958年当時、コロンビア日本支社が公開をあきらめたのは、その時点ではテレビシリーズが放送されていなかったためだろう。日本ではシリーズ後半が61年に「捜査線」として放送され、64年になってようやく前半が「サンフランシスコ・ビート」の題で放送されたようだ。
つまり今回の『殺人捜査線』という邦題は、「捜査線」と『夜の大捜査線』にひっかけた上に、いかにも50年代映画らしいシンプルさを感じさせるもので、今どきのごちゃごちゃした邦題(『ザ・ラインナップ 非情の殺人者たち あの密輸ヘロインを奪え!』みたいな)にしなかったWOWOWのセンスに大いに感謝したい。
ポスター上部のコピー
「強烈すぎるし、大きすぎる、テレビには!」「この追跡劇は劇場の大画面で見るしかない!」という惹句からは、これがスピンオフ映画であるということだけでなく、当時の映画とテレビの対決ムードが伺える。じっさいスタンダード・サイズではなく、ヴィスタ・サイズ(1:1.85)の大画面映画として製作された(ヴィスタヴィジョン方式で撮影されたかどうかは不明)。
もとは警察ドラマなのに、実質的な主役は殺し屋というあたりが、ドン・シーゲルの真骨頂。偏執的な殺し屋を演じて強烈な印象を残したイーライ・ウォラックの名前が、ポスターでも最上位に。「『ベビイドール』で戦慄のデビューを飾った彼が、今度は殺し屋に!」と書かれている。
イーライ・ウォラックといえば、『荒野の七人』の山賊の首領や、『続・夕陽のガンマン』の“汚い奴”といった悪党役が最高で、『グッドフェローズ』のジョー・ペシみたいなキレた役柄が得意だったわけだが、それ以前にこんな代表作があったとは驚くほかない。90歳を超えた今も現役で、最近では『ホリデイ』の老脚本家役で元気な姿を見せてくれたのはご存じのとおり。
ポスター右下の名前
本来の主役であるガスリー警部補ことワーナー・アンダーソンはここに。
サンフランシスコを舞台に、刑事と殺し屋2人組の対決を描いた、撃ち合いありカーチェイスありのアクション映画――といえば『ブリット』。イギリス出身の俊英監督ピーター・イエーツが、あるいはプロデューサーのフィリップ・ダントニが、この『殺人捜査線』を見たのは間違いないだろう。
そしてドン・シーゲル自身の『殺人者たち』も『刑事マディガン』も『ダーティハリー』も、『殺人捜査線』なかりせば、まったく違った映画になっていた可能性がある。また、有能な個人と組織の機動力の対決というテーマは、後期の『突破口!』や『ドラブル』まで続く、ドン・シーゲルお気に入りのテーマになっていく。
こんな映画があったのだ!
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「知らない奴とはピンポンしない方がいいよ」(和田誠訳)
というのは、スチュアート・カミンスキーのミステリ小説『ロビン・フッドに鉛の玉を』における青年ドン・シーゲルのセリフ。若き日に卓球選手として活躍し、不況時代には賭けピンポンで食べていたこともあるというシーゲルの逸話を知っていると、にやりとしてしまう場面なわけだ。
カミンスキーはそもそもドン・シーゲルへのロング・インタビューを評伝 "Don Siegel: Director" (1974) にまとめた映画評論家。40年代のワーナー・スタジオを主な舞台にした小説で作家デビューするにあたり、発想の原点になったドン・シーゲルを登場させたのは理の当然だろう。
アルフレッド・ヒッチコックへのささやかな対抗心なのか、ドン・シーゲルも自作にちらっと姿を見せるのが好きな監督であり、『突破口!』で、マフィアの隠れ家でピンポンに興じる男を演じていたのは忘れがたい。『グランド・キャニオンの対決』にも、トレードマークの帽子とパイプ姿で映っているのでお見逃しなく。
というわけで、今日からいよいよ特集放送が始まる。番組予告を見たら、『グランド・キャニオンの対決』(スコープ・サイズ)と『殺人捜査線』(ヴィスタ・サイズ)の絵が壮絶に美しくて涙が出そうになった。
ここでひとつ訂正。前回のエントリーで「全作品オリジナル・サイズのHD新マスターで放送」と書いたが、『第十一号監房の暴動』のみ、オリジナル・ネガまで遡れず、HDマスター化できなかったそうである。これのみ独立系のアライド・アーティスツ作品なので、残念だが仕方がない。スタンダード作品(IMDbによれば1:1.37)なので、ノートリミングのオリジナル・サイズ放送なのは他と同じである。
ドン(ドナルド)・シーゲルは、1912年10月26日、シカゴのウエストサイドに生まれた。両親はヴォードヴィルのマンドリン奏者だったが、音楽の通信教育事業を始めて成功し、ドンはニューヨークとシカゴを行き来しながら育った。家は中流のユダヤ人家庭だったが、本人曰くユダヤ人として育った実感はないとのことで、長じて無神論者になった。
高校卒業後、両親に連れられてヨーロッパへ。ケンブリッジのカレッジで聖書研究を専攻し、卓球選手として名を上げ、ロンドンの王立演劇アカデミーでは演技を、パリではフランス語を学んだという。
大恐慌ののち、バンドのドラマーとして客船で働きながら帰国。21歳のとき、無一文でロサンゼルスにたどり着き、とくに映画好きというわけではなかったが、叔父の口利きでワーナー・ブラザーズのフィルム保管庫に職を得た。
ワーナーには結局14年間在籍し、その間にモンタージュ部や二班の監督として、『彼奴は顔役だ!』『壮烈第七騎兵隊』『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』『情熱の航路』『鉄腕ジム』『ヨーク軍曹』『カサブランカ』などなど、無数の映画のアクション場面を担当した。
ドン・シーゲルの監督作のほとんどに共通している、明解な特長・美点が2つある。ひとつは「極端に経済的な撮影・編集の手法」というスタイル上の特長。もうひとつは「人を善悪で峻別しない態度」というテーマ上の特長。
経済的なスタイルというのはつまり、ややこしいアクションを最少限のカット数で見せたり、ストーリーの一部を大胆に省略したりする技術で、これによって、もったいぶらずにずばっと物語る直截な語り口、暴力描写の鮮烈さといった、ドン・シーゲルらしさが生まれた。
ワーナー撮影所のバックロットで、来る日も来る日も撃ち合いと殴り合いを撮り続けた経験が、このスタイルを作り上げたと言っていいだろう。
ドン・シーゲルの映画には、冷酷無比の悪党、狂気の殺人者、愛よりも金を選ぶ悪女が、必ずといっていいほど登場する。彼らの多くは主人公よりも存在感があったり、事実上の主役であったりする(この世界では、善人であることよりもプロであることが重視され、悪人ではなくアマチュアが軽蔑されるのだ)。
このテーマ上の特長は、脚本家やプロデューサーが誰であれ一貫しているのだから、ドン・シーゲル自身の人生観からきていると考えられる。両大戦間にヨーロッパで暮らしたコスモポリタンとしての経歴や、ブルジュワ家庭と底辺労働者の生活の両方を体験したことが、この一種の無常観、アメリカ人監督らしからぬ19世紀的な人生観を育んだのではないか。青春時代を過ごしたヨーロッパをその後ヒトラーが席捲したことも、影を落としているかもしれない。
もうおわかりかもしれないが、クリント・イーストウッドがドン・シーゲルから影響を受けたのは、スタイル上の特長であり、テーマ上の特長は受け継いでいない。同じくシーゲルの弟子筋といわれるサム・ペキンパーに至っては、どちらも受け継いでいない。ドン・シーゲルという特異な監督の流儀は、やはり一代限りのものだったというべきだろう。
(この項まだ続く)
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