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2007年01月09日
昨夜WOWOWで放送された「エキストラ:スターに近づけ!」の第3話を見たら、あまりの面白さにテレビの前で転げ回ってしまった。ケイト・ウィンスレットいいなあ。
「エキストラ:スターに近づけ!」は英BBCで2005年に始まったテレビシリーズで、中年の売れないエキストラ俳優が、「セリフのある役」を求めて四苦八苦するというシットコム。毎回いろいろな撮影現場で有名スターと遭遇するしかけで、ゲストの豪華さが売りものになっている。
ベン・スティラーがゲスト出演した第1回を見たときは、あまりにも“いたたまれない”自虐的なユーモアに恐れをなしてしまったのだが、「ケイト・ウィンスレットの回は面白いですよ」と教えてくれる人がいたので、もういちど見る気になったのだった。
公式サイト(第1シーズン全6話)
http://www.wowow.co.jp/drama/uk/ex/
そもそも、いたたまれないシチュエーションが生み出す、身もだえしたくなるような意地悪な笑いは嫌いではない。いちばん好きなシットコムは「となりのサインフェルド」、二番は「あなたにムチュー」なので、世の善男善女の方々よりは耐性があるほうだと思っている。それでも、とくにイギリス流の底意地の悪さにはついて行けない時があって、やはりBBC制作でヒットした「The Office」も、そのせいで途中で脱落してしまったのだった。
で、その「The Office」で一躍イギリスを代表する人気コメディアンになったリッキー・ジャーヴェイスとスティーヴン・マーチャントのコンビが、満を持して送り出した新作が、この「エキストラ:スターに近づけ!」、ということなのだと思う。主役のリッキー・ジャーヴェイスの芸風が苦手なのだから、この番組は端から鬼門――のはずだったのに、昨日の第3話を見て、録画してあった第2話もあわてて見て、すっかり脱帽してしまったのだった。
うまいのは、スター本人のイメージを利用した人物設定の作り方。ベン・スティラーは増長した勘違い野郎で、むりに社会派を気取っている。ケイト・ウィンスレットはああ見えてじつは気さくな人柄で、気さくすぎてテレフォン・セックス指南までしてくれる――なんていうバカ展開を、本人も楽しそうに演じているのが可笑しすぎるのだ。
ノミネート4回でいまだにオスカーがとれないという自虐ネタも全開で、そうじゃなきゃホロコースト映画の尼僧役なんかやらないワと言い放つビッチぶりも最高。映画のシーンになるとスコープ・サイズに切り替わる芸の細かさや、ロンドン近郊の撮影所の内部がちらちら見られるのもうれしくなる。
第2話はロス・ケンプ篇で、これはさらに傑作だった。ロス・ケンプといっても日本での知名度はゼロに近いだろうが、テレビシリーズ「S.A.S. 英国特殊部隊」のサージェント・ヘンノ役でスターになった人。じつはこの「S.A.S. 英国特殊部隊」(の最初の2シーズン)は本当に好きだったので、ロス・ケンプにはそれなりに思い入れがあるのだが、役と自分を混同している成りきり男という設定がいかにもそれらしく、さらに後半でもうひとひねりしてあって笑って泣かせる話になっている。ちょっとだけ出てきて場をさらうヴィニー・ジョーンズも最高。
そんなわけで、リッキー・ジャーヴェイスの芸風にも耐性がつき(人はこうして日々強くなっていく)、相棒のスティーヴン・マーチャント演じる無能なエージェントに爆笑し、さらにこのあとはサミュエル・L・ジャクソンやパトリック・スチュワートの回が控えているというのだから楽しみで仕方がない。
そして気になって調べてしまったのだが、第2シーズン全6話のゲストは、オーランド・ブルーム、デイヴィッド・ボウイ、ダニエル・ラドクリフ(とダイアナ・リグとワーウィック・デイヴィスってどんな話なんだよ!)、コールドプレイのクリス・マーティン、イアン・マッケラン、ロバート・デ・ニーロだというからすごすぎる。これもWOWOWが放送してくれることを願いつつ、来週の放送が待ちきれない。
The Office allcinema IMDb
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となりのサインフェルド allcinema IMDb
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S.A.S. 英国特殊部隊 allcinema IMDb
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投稿者 chisesoeno : 2007年01月09日 01:51
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