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2007年02月03日
「会いに行く」などと図々しく出ましたが、今回はイベントの紹介です。
「アカデミー・シネマフェスティバル in 丸の内 SFXで観るアカデミー賞の世界 アニマトロニクス展 IT'S ALIVE」(長いよ)という展覧会が、東京駅の真正面、丸ビルの1階で、昨日から始まりました。2月14日(水)までの13日間、入場無料で、映画の撮影で実際に使われたアニマトロニクスを見ることができます。
公式サイト
http://www.wowow.co.jp/79/fes/
展示物は、『帝国の逆襲』のヨーダから『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』のアスランまで全21体! といっても、展示用モデルやコンセプト模型も含まれているので、撮影に使われたアニマトロニクスの実物で、内部の機械仕掛けがじっくり見られるものとしては、『マイティ・ジョー』のジョーの右腕と頭部、『リトルショップ・オブ・ホラーズ』のオードリーII、『メン・イン・ブラック2』のエイリアン4体といったところが注目でしょう。
昨日は12時から会場でオープニング・セレモニーが行われ、そのためになんと、リック・ベイカーが来日するというので、鷲巣義明、神武団四郎、殿井君人というこの分野に強い映画ライター諸氏を誘って、急遽かけつけました。
リック・ベイカーの開会の辞は以下のようなものでした。
「イッツ・アライヴ!というこのショーの題名はぴったり合っています。フランケンシュタイン博士がモンスターが動き出したときに叫んだ言葉なんですが、私には彼の気持ちが非常によくわかります。私も同じ経験を何度もしているからです。私の造ったクリーチャーは、肉と骨のかわりにゴムやアルミやファイバーグラスが、筋肉のかわりにロッドやケーブルが使われているわけですが」
「私は自分の仕事がたいへん気に入っています。脚本には通常、クリーチャーの説明はほんの一言二言しかありません。そこですぐに、それがどんな風に見えるのか、頭の中で思い描いてみます。それから、昔はペンと紙を使っていましたが、平面上でコンセプト・スケッチを描き、次に立体モデルを作ってみるわけです。つまり何が言いたいかというと、最初はぼんやりとしたアイデアでしかなかったものが、やがてある日、自分の目の前に座っているわけですね。それが実際に完成し、初めて電源を入れてジョイスティックを操作し、動き出すときの感動は、何ものにも代えられないものです」
「ですから、私と私の友人たちが造ったこれらのアニマトロニクスをご覧になって、同じ感動を少しでも味わっていただければうれしいです」
アニマトロニクスというのは要するに、映画の撮影現場で使われる遠隔操作のロボットのことで、原形をさかのぼればサイレント時代の初期からあるものですが、現在のように複雑で精巧なものが登場し、「アニマトロニクス」と呼ばれるようになったのは、まさにこのリック・ベイカーのような人々が活躍するになった70年代後半以降のことです。
特殊メイクの若き天才として登場したリック・ベイカーは、『狼男アメリカン』あたりからアニマトロニクスを手がけるようになり、まさにその『狼男アメリカン』で、新設されたばかりのアカデミー賞メイクアップ賞を受賞。以降オスカー6個を獲得する大活躍を見せました。
現在のリック・ベイカーは、特殊メイク・アーティストであると同時に、アニマトロニクスを始め、さまざまな特殊効果を手がける工房の代表者でもあります。彼が率いるシノヴェイション・スタジオは、現在ハリウッドで活躍するクリーチャー・エフェクト・スタジオとしては、スタン・ウィンストン・スタジオ、アマルガメイテッド・ダイナミクス、ジム・ヘンソンズ・クリーチャー・ショップ、パトリック・タトポロス・デザイン社などと並ぶ、最大手の工房と言えるでしょう。
今回の展示は、もとはといえば、ロサンゼルスのビヴァリー・ヒルズにあるアカデミー協会の本部で2006年5月に行われた展覧会がもとになっています。
このときは、リック・ベイカーが自分の仕事の中でもっとも気に入っているという、『ハリーとヘンダーソン一家』のハリーも含まれていたのですが、今回はそれが来なかったのは残念でした。
「It’s Alive!: Bringing Animatronic Characters to Life on Film」の解説
http://www.oscars.org/press/pressreleases/2006/06.04.19.html
そのときに展示されたハリーの頭部
http://photos.oscars.org/previewimg.php?photoIDNumber=4477
いずれにせよ、ロサンゼルス以外で巡回展示されるのは東京が初めてだそうなので、この機会にぜひ見ておくことをおすすめします。
午後からは、場所を変えて新聞3紙によるリック・ベイカーへの取材が行われましたが、4時間ほとんど休みなしのインタビューに、つねに誠実に答えている姿が印象的でした。明日4日の読売新聞にイベント告知の全面記事が載るそうなので、楽しみです。
投稿者 chisesoeno : 2007年02月03日 18:57
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