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2007年02月26日

 ■ アカデミー賞豆知識

 今日はいよいよ授賞式ですが、ここで意外と知られていないアカデミー賞の豆知識~。

■基本は24賞。
 賞の数は時代によって増減があるが、現在の賞の数はふつうは24部門。2002年に新設された長編アニメ映画賞がもっとも新しい賞。次に新しいのがメイクアップ賞(1982年開始)。かつては助監督賞とかダンス監督賞なんていうのもあり、その時々の映画の内容によって変化してきたことがわかります。

■ノミネートは専門部会が決める。
 ノミネートは専門部会で決定され、最終投票は全会員で行います。専門部会というのは、たとえば監督賞だったら同業の監督たちがプロの眼で選ぶということ。つまりノミネートされるということは、同業者からお墨付きを得たということで、それだけでも大したものなのです。
 ただし作品賞だけはノミネートも全会員が投票するのだそうです。

■投票期間は3週間。
 今年の最終投票は、1月31日から2月20日までの3週間で行われました。投票用紙を無記名で集計会社に郵送する方式です。
 そんなわけで、ノミネートされている映画の配給会社は、この3週間のあいだに会員に自社作品をアピールすべく、最後の力を振り絞って、試写用DVDを配ったり、劇場でリバイバル上映したりのキャンペーンをはるわけです。

■投票する会員は約6,000人。
 映画芸術科学アカデミーの会員数は3年前の時点で5,816人という数字が発表されているので、現在は6千人前後と思われる。ちなみに06年に入会を打診されたのは120人だとか。ほとんどがハリウッド映画の製作に関わるスタッフ・俳優なのでしょうが、ノミネートされると外国人でも勧誘されることが宮崎駿のときに判明しました(辞退したが)。

■投票で決まる賞だけではない。
 会員の投票で決まる賞以外に、アカデミーの事務局が独自に決める賞が4つあります。これらは毎年あるとは限りません。
 近年は無冠の大物に功労賞的におくられることの多い「名誉賞」。
 優れたプロデューサーにおくられる「アーヴィング・G・タルバーグ記念賞」。
 技術面で貢献のあったひとにおくられる「ゴードン・E・ソーヤー賞」。
 人道的な活動で貢献した人におくられる「ジーン・ハーショルト友愛賞」。

■今年の名誉賞はエンニオ・モリコーネ。
 モリコーネが一度もアカデミー賞を受賞していないこと自体が、あまりにもバカげていると思うのですが、反省するのに遅すぎることはないということなのでしょう。
 先年亡くなったジェリー・ゴールドスミスも、18回もノミネートされながら受賞したのは『オーメン』だけという惨状だったことを考えると、作曲賞には何か問題があるのかもしれません。

■ちがいのわからない賞。
 24部門のなかで、いちばん違いのわかりにくいのが、音響編集賞(Sound Editing)と録音賞(Sound Mixing)でしょう。私も何度調べてもなかなか憶えられません。音響編集賞は効果音などを作る「サウンド・エディター」におくられる賞。録音賞はバランスを調整して最終的なサウンドトラックを仕上げる「リレコーディング・ミキサー」におくられる賞。ということだと思います。

■司会者の人選。
 授賞式の顔ともいえる司会者ですが、3年前から、新しい人材の試用期間に突入しているように見えます。90年代以降、ビリー・クリスタルとウーピー・ゴールドバーグとスティーヴ・マーティンの回り持ちになっていましたが、さすがに飽きられてきたので、今後の方向性を考えながら、いろいろ試しているということでしょう。
 最初に起用されたのはクリス・ロック。スタジアム級の人気を誇るスタンダップ・コメディアンということで、期待どおり危ない人種ギャグが炸裂。見ているほうは面白かったけど、関係者は青ざめてたんじゃないかな。続く去年は政治トーク・コメディ番組のジョン・スチュワート。前年の反動かおとなしすぎて、あまり面白くありませんでした。
 そして今年は、人気トーク番組の司会者で、かつてレズビアン告白で騒がれたエレン・デジュネレス。『ファインディング・ニモ』のドリーの声の人ですね。最初の登場場面で何を言うかが見どころになります。

■トークの内容は事前に決められている。
 司会者のトークは、もちろん本人を交えて、複数の脚本家が練りに練った原稿が使われるわけですが、プレゼンターの言葉は、基本的にはスピーチ・ライターが全部事前に書いて用意しているもので、だからだいたいにおいて面白くありません。

■歌曲賞は歌った人がもらえるわけでない。
 授賞式に華を添えるのが、歌曲賞にノミネートされた曲が歌われるパフォーマンスのステージ。5曲のノミネート曲を、5組の有名アーティストがここぞとばかり力を込めて歌うのが見どころになっています。
 が、歌曲賞は曲を書いた人に対する賞なので、自作自演でなければ、いくら熱演でもオスカーは持って帰れないのです。

■短篇映像が楽しみ。
 個人的な授賞式の楽しみに、めずらしい映像と凝った編集で作られた短篇映像の上映があります。ノミネート作品を紹介するもの、その年のテーマに沿ったものなど、毎年5分程度のものが2~3本上映されます。編集・演出にはチャック・ワークマンやエロール・モリスといった一流のドキュメンタリー映画監督が起用されることが多く、そのうえ、アカデミーがバックアップするわけですから、最良の素材をふんだんに使えるということで、毎回非常に見ごたえがあります。授賞式を逃すと見られないという意味でも貴重だと思います。

■日本語公式サイト。
 あまり知られていないようですが、アカデミー賞には日本語公式サイトがあります。きちんと更新されているし、いろいろ面白いことが書いてあるので、興味のある人は読んでみると良いでしょう。
http://www.wowow.co.jp/oscars/


投稿者 chisesoeno : 2007年02月26日 01:12

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