8月20日発売の雑誌「映画秘宝」10月号では、連載コラムで新作映画『スカイ・クロラ』について書きました。連載84曲目に取り上げたのは、チャカ(元PSY・S)の歌う劇中歌「sail away」です。
映画秘宝2008年10月号
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映画のためのオリジナル新曲を取り上げることはほとんどないのですが、『スカイ・クロラ』を見て予想外の感動を覚えたので、ぜひ評文を書いておきたかった、というのがまずひとつ。
そして、てっきり既成曲だと思ったらオリジナル新曲だったので驚き(曲・川井憲次、英詞:坂本美雨)、サントラ盤を買って歌詞を見たら、映画のテーマと連係する内容だとわかって嬉しくなり、これは取り上げねば、ということになったわけです。
サントラCD『SOUND of スカイ・クロラ』 (2008)
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HMV(試聴可)
私の「読み」は、この映画を否定する人のそれとも、肯定する人のそれとも違う、かなり極端なものですが、すでに見て何か感じるところがあったなら、ぜひ読んでみてほしいです。
映画『スカイ・クロラ』公式サイト
http://sky.crawlers.jp
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7月19日発売の雑誌「映画秘宝」9月号では、連載コラムで新作映画『ワン・ミス・コール』について書きました。連載83曲目はシュリークバックの「イル・ミステラ・デル・テンポ」です。
映画秘宝2008年9月号
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たった1曲の挿入歌が、映画全体の印象を大きく好転させることもあるのだ――というようなことを書いたのですが、ではそれはいったい誰の曲なのかと、エンドロールに目を凝らしていたら、シュリークバックだったので驚きました。
バリー・アンドリューズがいたころのXTCも好きだったので、脱退後に彼が結成したシュリークバックもしばらくは聴いていたのですが、断続的とはいえ、まさか現在に至るまでアルバムを出し続けているとは知りませんでした。この曲は10枚目のアルバム "Cormorant" からの選曲。アンディ・パートリッジとの再会セッションが話題になった05年作とのことですが、私はそれも知りませんでした。
Shriekback "Cormorant" (2005)
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HMV
iTunes Store (Japan)
2004年の邦画『着信アリ』を、アメリカ南部の学園都市に舞台を移してリメイクした『ワン・ミス・コール』は、7月19日より全国公開中です。
『ワン・ミス・コール』公式サイト
http://www.one-missed-call.jp/
投稿時間 : 15:54 個別ページ表示 | コメント (0) | トラックバック (0)
6月21日に出た雑誌「映画秘宝」8月号では、連載コラムで新作映画『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』について書いています。とりあげた曲はキンクスの「ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ」。『ホット・ファズ』が気になる映画ファンも、キンクスのファンも、ぜひ読んでみて下さい。
映画秘宝2008年8月号
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キンクスはもちろん好きなのですが、自分でも意外なことに、連載82曲目にして初登場です。キンクスの場合、映画で使われるのは「ユー・リアリー・ガット・ミー」ばかりだし(あくまで印象ですが)、たまに内容にからめて使われていても映画がピンと来なかったりで(『ダージリン急行』とか)、これまで取り上げる機会がありませんでした。
まさかこれほど、じかに影響を受けた映画が作られるとは思ってもみなかったので、だいじに残しておいて良かったです。
キンクス『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』
The Kinks "The Kinks Are the Village Green Preservation Society"
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HMV
というわけで、ほんもののヴィレッジ・グリーン(共有緑地)が見られる映画『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』は、7月5日より全国順次公開です。
公式サイト
http://hotfuzz.gyao.jp/
投稿時間 : 16:40 個別ページ表示 | コメント (0) | トラックバック (0)
今月の映画秘宝(8月21日発売)のコラムでは、『デス・プルーフ in グラインドハウス』を取り上げて、ウィリー・デヴィルの歌について書きました。『デス・プルーフ』は、ごぞんじクエンティン・タランティーノの最新作。もともとは『グラインドハウス』という2本立てオムニバス映画の後半部分ですが、日本では独立した1本の長篇映画として封切られます(9月1日から全国公開)。
コラムは試写で見せてもらった長篇版をもとに書いたのですが、もとになった2本立て版『グラインドハウス』が、今日から8日間だけ限定公開されるというので、さっそく六本木東宝まで見に行ってきました。
http://www.grindhousemovie.jp/usa.html
来場者プレゼントでもらった絵はがき大のロビーカード
「U.S.A.バージョン」と銘打たれたこれは、前半にロバート・ロドリゲスが監督した『プラネット・テラー in グラインドハウス』を置き、前後に抱腹絶倒の予告篇などおまけを付けた幕の内弁当のようなオムニバス映画。『デス・プルーフ』部分は長篇版よりも20分ほど短い別バージョンとなっています。
で、参ったのは、コラムで取り上げたウィリー・デヴィルの歌う「イッツ・ソー・イージー」の使用場面が、この2本立て版では、ばっさりカットされていたこと。長篇版では2回も出てくるし、明らかに重要な曲だと思ったのに、コンビニの駐車場のシーンごと丸々消えているではありませんか。
ちなみに、同じくコラムで触れたバート・バカラックの曲をくちずさむシーンもないし、ウィリー・デヴィルとどちらを取り上げようか迷ったコースターズ「ダウン・イン・メキシコ」の使用場面もなかったことになっているしで、結果として、タランティーノがカットしてもいいと思った場面ばかりを重要視していたという、批評の筋の悪さを露呈する形になってしまいました。
というわけで、なにが言いたいかというと、現在公開中の2本立て版を見ても、先のコラムに書いたような挿入歌は出てこないので、そういう楽しみかたはできません、ということ。ウィリー・デヴィルの歌が聴きたい人は、ぜひ長篇版のほうをご覧下さい。まさかこれほど内容が違うとは思っていなかった、と言い訳しておきます。
しかし、この件でいちばん悔しいのは、短いバージョンのほうが明らかに良くできているということ。選曲といい、使い方といい、ウィリー・デヴィルの起用は非常にうれしいのですが、それをテーマ曲にしている男が、後半ずっと姿を現わさないほうが、再登場シーンがぐっと盛り上がるのです。
サントラCD 国内盤 amazon.co.jp / 米盤 amazon.co.jp
投稿時間 : 06:31 個別ページ表示 | コメント (0) | トラックバック (0)
6月22日にレンタル開始になった『ケイヴ・フィアー』という未公開映画がある。SFマガジンに短評を書くために一足先に見せてもらったのだが、これがなんと "Abominable" という雪男ものの新作UMA映画だった。
DMM
IMDb
日本語解説
http://www.artport.co.jp/library/in_video/cave_fear.htm
監督・脚本・原案のライアン・シフリンというのは、何を隠そう映画音楽の大家ラロ・シフリンの息子で、これが長篇デビュー作。見るからに低予算の自主製作映画で、ライアンの演出も冴えているとは言いがたいが、設定とストーリー展開にそれなりの工夫があって、意外や意外、最後まで飽きずに見てしまった。
事故で歩けなくなった車椅子の男が、山奥の別荘地にやってくる。向かいの山荘には若い女たちが泊まりに来ているのだが、その1人が毛むくじゃらの謎の怪物に惨殺されるのを、男は窓から見てしまう――という物語は、ずばりアルフレッド・ヒッチコックの『裏窓』のモンスター映画版。
そんな強引な……と笑ってしまうが、女たちへの警告が届かなかったり、やがて男の存在も気づかれてしまったりという展開がそれらしく、最後は、車椅子の男がどうやって雪男と対決するのかが見せ場になる。
場面と登場人物を限定した理にかなった低予算映画だが、父シフリンの担当した音楽だけが妙に豪華だったり(仕上げはスカイウォーカー・サウンド!)、ランス・ヘンリクセンとジェフリー・コムズがゲスト出演していたりという楽しみもある。
『裏窓』の本歌取りといえば、4月に全米公開されて意外なヒット作になった "Disturbia" が、ティーンエイジャー版『裏窓』ということで話題になったばかり。残念ながら日本公開は未定のようだが、こちらは自宅謹慎の裁判所命令で家から出られない高校生が、隣家の殺人事件を窓から見てしまうという話らしい。
IMDb
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一方、モンスター・パニック映画で『裏窓』といえば、『ミミックIII』も忘れられない。難病で部屋から出られない青年が、毎日眺めていたアパートの中庭に奇怪な人影を見てしまう、という物語。『ミミック』番外篇としてはなかなか悪くないアイデア・ストーリーだった(そういえば、これにもランス・ヘンリクセンが出ていたなあ)。
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DMM
『裏窓』のプロットを利用した映画はまだまだ他にもありそうだが、とりあえず思いつくのはこれぐらい。いろいろなジャンルの映画に転用が効くと思うのだがどうだろうか。
投稿時間 : 18:01 個別ページ表示 | コメント (0) | トラックバック (0)
『ドリームガールズ』は大傑作だと思っている私が来ましたよ! 冷静になるために劇場で日をおいて2度見たのですが、確信は深まるばかりでした。雑誌「映画秘宝」の次号(3月21日発売)に思うところを書きましたので、ぜひ読んでください。
映画秘宝では、映画の挿入歌をテーマにしたコラムを連載しています。1990年ごろ「宝島」のビデオ評でライター・デビューした私にとって、「映画秘宝」で原稿を書くのは自然なことでしたが、それにしても長くやらせてもらっていて、読者と編集部には感謝しています。
今はじつは、その次の号に載る、私が世界で一番好きな監督についての原稿を書いているところです。このために、まるまる1週間スケジュールを空けて、他の仕事を入れずにおいたので、集中して取り組めるのがうれしいです。
気持ちを盛り上げるために、壁のポスターも貼り替えてみました。
投稿時間 : 14:50 個別ページ表示 | コメント (0) | トラックバック (0)
予想は24部門中10部門しか当たりませんでした。4割……ひどいものです!
そして、自分の予想がはずれまくったから言うわけじゃありませんが、今回のアカデミー賞の結果にはいささか、いや、かなり、がっかりさせられました。
かつて『グッドフェローズ』や『カジノ』で達成したことの、形骸化した、迷いの感じられる焼き直しにすぎない『ディパーテッド』。失敗作であっても、それなりに見どころや面白い工夫があるのは、さすがスコセッシというべきで、きらいになれない映画ではあります。
しかし、失敗の主要因である脚色が評価され、脚色賞のオスカーを獲得したことはまったく理解できません。『インファナル・アフェア』という物語の仕組みと美点を理解しないまま舞台を移し、それでいて独自の方向性を打ち出すこともしなかった脚色は、リメイクのあり方としては、もっとも怠惰なものでしょう。
そして、それよりもさらにがっかりさせられたのが、作品賞の結果。
他の4本のどれでもいい、『バベル』でも『硫黄島からの手紙』でも『リトル・ミス・サンシャイン』でも『クィーン』でも、どれが受賞しても、そのことによって、それぞれに意味のあるメッセージを発信することができたのに、それをしなかった。
メキシコ映画の野心作を、アメリカ製の外国語映画を、インディーズの小品を、イギリス人のためのイギリス映画を、ハリウッドは歓迎している、新風を呼び込もうとしているという姿勢をアピールできたはずなのに、もっとも後ろ向きで臆病な選択が勝った、そのことが残念でなりません。
授賞式自体は、うまくいったところといかないところがありましたが、全体に攻めの姿勢が感じられたのは良かったと思います。
司会のエレン・デジェネレスは開巻のトークで、辛辣なギャグに交えてさらりとマイノリティの存在を鼓舞し、一気に会場を味方に付けてしまったのはさすがでした(同性愛をカミングアウトしている人が司会をするのは初めて?)。ウィル・フェレル、ジャック・ブラック、ジョン・C・ライリーによる、コメディアンの哀しみを歌ったステージも最高だったし、スティーヴ・カレルのギャグも、プレゼンターの原稿のなかではピカイチで爆笑してしまいました。ジェリー・サインフェルドの話芸も久しぶりに見られたし、全体にコメディアンのがんばりが目立っていたと言えるでしょう。
映像の部では、脚本家の仕事を紹介する「ザ・プロセス」という短篇が、ナンシー・マイヤーズの編集で、古今のハリウッド映画のなかから作家・脚本家・新聞記者が描かれたものを選び出し、次から次へと短いカットをつないで見せるもので、なかなか面白かったです。もう1本の短篇「ポートレイト・オブ・アメリカ」が、マイケル・マンの編集とは思えないほど散漫なできだったのとは対照的でした。
がっかりしたのは、故人を偲ぶメモリアル・トリビュートの映像で、もっと胸を締めつけるよなものが作れたと思うのですが、例年よりも力のない出来でした。リチャード・フライシャーの代表作に『ソイレント・グリーン』をあげてくれたのは、私はうれしいけどそれでいいのか?とか、今村昌平のところで映像にずっと奥山和由の名前が出ていて、まるで彼が死んだみたいだったとか、いささか雑な作りだと思いました。
トム・クルーズをプレゼンターにして、引退したシェリー・ランシングに友愛賞がおくられたのは、2人を相次いで首にしたパラマウント経営陣に対するハリウッドなりの意思表示なのでしょうが、個人的には、ウィリアム・フリードキンが家庭で「ビリー」と呼ばれていることがわかって笑ってしまいました(ランシングの夫なので)。受賞者の家族といえば、ヘレン・ミレンの夫として、うれしそうなテイラー・ハックフォードが始終画面に映るのも微笑ましかったです。
エンニオ・モリコーネへの名誉賞授与は、クリント・イーストウッドという最高のプレゼンターを得たにも関わらず、釈然としないものでした。モリコーネの音楽を紹介した映像と、続くセリーヌ・ディオンのステージを見ると、あまりにも、情緒的なメロディの書き手としての側面ばかりが強調されており、結局のところ、モリコーネの前衛性はアメリカでは永久に理解され得ないのではないかという気がしました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のテーマ曲に、新たにアラン&マリリン・バーグマンが歌詞を付け、クインシー・ジョーンズのプロデュースで作られたというセリーヌ・ディオンの“新曲”も、私にはどこが良いのかまったく理解できないものだったし、モリコーネ本人がこれを聴いて喜んでいるようにも見えませんでした。
ビル・コンドンが自ら演出したという『ドリームガールズ』の3曲メドレーのパフォーマンスは圧巻でした。ビル・コンドンもギレルモ・デル・トロもそうですが、受賞者がスピーチの中で監督を讃えると、本当にうれしそうだったのが印象的でした。2人とも、この日の受賞結果にがっかりせず、今後も自分の流儀を貫いてほしいです。
とりとめもなく書いてきましたが、じつは私がいちばん感心し、また考えさせられたのは、オープニングの短篇と、それに続く会場の演出です。
短篇はエロール・モリスの演出で、白を背景にしたシンプルな構図のなかに、今回ノミネートされている177人が次々に登場し、何かを言ったり言わなかったりするというもの。菊地凛子と辻一弘の登場がうれしく、人種・国籍の多彩さが目に見える形でわかるのが良かったし、「だけど受賞の栄光に輝くのは一部の人だけ」というペーソスも感じさせて、秀逸な出来でした。
そして、それが終わっていよいよコダック・シアターの会場内に場面が移ると、ノミネートされている人たちが全員、自分の席で立ち上がって、拍手喝采を受けているという演出の華やかさと楽しさ。司会者が登場し、今年はかつてなく国際的で多彩なノミネートになったこと、ノミネートされている人々、全員を讃えることが今年の授賞式の方針であることが示されて、胸が熱くなりました。
前回のエントリーで書きましたが、ノミネートは専門部会で決定され、最終選考は会員全員の投票で決まります。じつは、同業の専門家によって選ばれるノミネートこそが、6000人の多数決によって時の運で決まる受賞よりも、はるかに意味のあることなのではないか? アカデミー賞において、真に重要で、記録として重視されるべきなのは、受賞の成否ではなく、ノミネートされたことなのではないか? 今年の授賞式を見終わって、そんな気が強くしました。
『ディパーテッド』が作品賞や脚色賞を受賞したり、エンニオ・モリコーネが一度も受賞できないまま名誉賞を受けたことは、じつは大して意味のあることではない。マーティン・スコセッシが『レイジング・ブル』や『グッドフェローズ』の時にきちんとノミネートされていること、モリコーネが5回のノミネートを受けていることこそが、後世に残されるべき記録なのではないか?
私自身のアカデミー賞に対する見方は、これから大きく変わっていくような気がします。
投稿時間 : 16:31 個別ページ表示 | コメント (0) | トラックバック (0)
今日はいよいよ授賞式ですが、ここで意外と知られていないアカデミー賞の豆知識~。
■基本は24賞。
賞の数は時代によって増減があるが、現在の賞の数はふつうは24部門。2002年に新設された長編アニメ映画賞がもっとも新しい賞。次に新しいのがメイクアップ賞(1982年開始)。かつては助監督賞とかダンス監督賞なんていうのもあり、その時々の映画の内容によって変化してきたことがわかります。
■ノミネートは専門部会が決める。
ノミネートは専門部会で決定され、最終投票は全会員で行います。専門部会というのは、たとえば監督賞だったら同業の監督たちがプロの眼で選ぶということ。つまりノミネートされるということは、同業者からお墨付きを得たということで、それだけでも大したものなのです。
ただし作品賞だけはノミネートも全会員が投票するのだそうです。
■投票期間は3週間。
今年の最終投票は、1月31日から2月20日までの3週間で行われました。投票用紙を無記名で集計会社に郵送する方式です。
そんなわけで、ノミネートされている映画の配給会社は、この3週間のあいだに会員に自社作品をアピールすべく、最後の力を振り絞って、試写用DVDを配ったり、劇場でリバイバル上映したりのキャンペーンをはるわけです。
■投票する会員は約6,000人。
映画芸術科学アカデミーの会員数は3年前の時点で5,816人という数字が発表されているので、現在は6千人前後と思われる。ちなみに06年に入会を打診されたのは120人だとか。ほとんどがハリウッド映画の製作に関わるスタッフ・俳優なのでしょうが、ノミネートされると外国人でも勧誘されることが宮崎駿のときに判明しました(辞退したが)。
■投票で決まる賞だけではない。
会員の投票で決まる賞以外に、アカデミーの事務局が独自に決める賞が4つあります。これらは毎年あるとは限りません。
近年は無冠の大物に功労賞的におくられることの多い「名誉賞」。
優れたプロデューサーにおくられる「アーヴィング・G・タルバーグ記念賞」。
技術面で貢献のあったひとにおくられる「ゴードン・E・ソーヤー賞」。
人道的な活動で貢献した人におくられる「ジーン・ハーショルト友愛賞」。
■今年の名誉賞はエンニオ・モリコーネ。
モリコーネが一度もアカデミー賞を受賞していないこと自体が、あまりにもバカげていると思うのですが、反省するのに遅すぎることはないということなのでしょう。
先年亡くなったジェリー・ゴールドスミスも、18回もノミネートされながら受賞したのは『オーメン』だけという惨状だったことを考えると、作曲賞には何か問題があるのかもしれません。
■ちがいのわからない賞。
24部門のなかで、いちばん違いのわかりにくいのが、音響編集賞(Sound Editing)と録音賞(Sound Mixing)でしょう。私も何度調べてもなかなか憶えられません。音響編集賞は効果音などを作る「サウンド・エディター」におくられる賞。録音賞はバランスを調整して最終的なサウンドトラックを仕上げる「リレコーディング・ミキサー」におくられる賞。ということだと思います。
■司会者の人選。
授賞式の顔ともいえる司会者ですが、3年前から、新しい人材の試用期間に突入しているように見えます。90年代以降、ビリー・クリスタルとウーピー・ゴールドバーグとスティーヴ・マーティンの回り持ちになっていましたが、さすがに飽きられてきたので、今後の方向性を考えながら、いろいろ試しているということでしょう。
最初に起用されたのはクリス・ロック。スタジアム級の人気を誇るスタンダップ・コメディアンということで、期待どおり危ない人種ギャグが炸裂。見ているほうは面白かったけど、関係者は青ざめてたんじゃないかな。続く去年は政治トーク・コメディ番組のジョン・スチュワート。前年の反動かおとなしすぎて、あまり面白くありませんでした。
そして今年は、人気トーク番組の司会者で、かつてレズビアン告白で騒がれたエレン・デジュネレス。『ファインディング・ニモ』のドリーの声の人ですね。最初の登場場面で何を言うかが見どころになります。
■トークの内容は事前に決められている。
司会者のトークは、もちろん本人を交えて、複数の脚本家が練りに練った原稿が使われるわけですが、プレゼンターの言葉は、基本的にはスピーチ・ライターが全部事前に書いて用意しているもので、だからだいたいにおいて面白くありません。
■歌曲賞は歌った人がもらえるわけでない。
授賞式に華を添えるのが、歌曲賞にノミネートされた曲が歌われるパフォーマンスのステージ。5曲のノミネート曲を、5組の有名アーティストがここぞとばかり力を込めて歌うのが見どころになっています。
が、歌曲賞は曲を書いた人に対する賞なので、自作自演でなければ、いくら熱演でもオスカーは持って帰れないのです。
■短篇映像が楽しみ。
個人的な授賞式の楽しみに、めずらしい映像と凝った編集で作られた短篇映像の上映があります。ノミネート作品を紹介するもの、その年のテーマに沿ったものなど、毎年5分程度のものが2~3本上映されます。編集・演出にはチャック・ワークマンやエロール・モリスといった一流のドキュメンタリー映画監督が起用されることが多く、そのうえ、アカデミーがバックアップするわけですから、最良の素材をふんだんに使えるということで、毎回非常に見ごたえがあります。授賞式を逃すと見られないという意味でも貴重だと思います。
■日本語公式サイト。
あまり知られていないようですが、アカデミー賞には日本語公式サイトがあります。きちんと更新されているし、いろいろ面白いことが書いてあるので、興味のある人は読んでみると良いでしょう。
http://www.wowow.co.jp/oscars/
投稿時間 : 01:12 個別ページ表示 | コメント (0) | トラックバック (0)
いよいよアカデミー賞授賞式まであと2日と迫ってきました。10年以上前から毎年、予想を立てるのが習慣になっているのですが、いちばん良かったときでも的中率6割ぐらいで、なかなか思うように当たりません。
とりそうな作品より、とってほしい作品を選んでしまう。
その年のアカデミー会員のムードの読み違い。
裏目読みのし過ぎ。
といったところが当たらない原因だとわかっているのですが、まったく好きになれない作品を選ぶこともできないし、こればかりは仕方がありません。
それでは今年の予想です。
■作品賞
バベル
ディパーテッド
☆硫黄島からの手紙
リトル・ミス・サンシャイン
クィーン
たしかにほとんど日本人しか出てこないし、アメリカでは見ている人が少ないのだが、現在のアメリカの厭戦気分の高まりに賭けてみたい。
■主演男優賞
レオナルド・ディカプリオ(ブラッド・ダイヤモンド)
ライアン・ゴズリング(ハーフネルソン)
☆ピーター・オトゥール(Venus)
ウィル・スミス(幸せのちから)
フォレスト・ウィテカー(ラスト・キング・オブ・スコットランド)
下馬評ではフォレスト・ウィテカー有利なのだが、彼の演技にピンと来たことがあまりないので、ここは無冠の大ベテランに。
■主演女優賞
ペネロペ・クルス(ボルベール〈帰郷〉)
ジュディ・デンチ(あるスキャンダルの覚え書き)
☆ヘレン・ミレン(クィーン)
メリル・ストリープ(プラダを着た悪魔)
ケイト・ウィンスレット(リトル・チルドレン(原題))
『クィーン』も『ボルベール〈帰郷〉』も見ていないので、メリル・ストリープにあげたいのだが、前評判から考えてこれ以外にはないでしょう。
■助演男優賞
アラン・アーキン(リトル・ミス・サンシャイン)
ジャッキー・アール・ヘイリー(リトル・チルドレン(原題))
ジャイモン・フンスー(ブラッド・ダイヤモンド)
☆エディ・マーフィ(ドリームガールズ)
マーク・ウォルバーグ(ディパーテッド)
歌って踊れる強味を生かしたはまり役。これで受賞して、もっとこういう役を演じてほしい。
■助演女優賞
アドリアナ・バラッザ(バベル)
ケイト・ブランシェット(あるスキャンダルの覚え書き)
アビゲイル・ブレスリン(リトル・ミス・サンシャイン)
☆ジェニファー・ハドソン(ドリームガールズ)
菊地凛子(バベル)
菊地凛子にあげたいのはやまやまだが、今回は相手が強すぎる。
■監督賞
クリント・イーストウッド(硫黄島からの手紙)
スティーヴン・フリアーズ(クィーン)
ポール・グリーングラス(ユナイテッド93)
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(バベル)
☆マーティン・スコセッシ(ディパーテッド)
『ディパーテッド』はいいと思わないが、ご苦労さんで賞ということで。作品賞はスコセッシがもらえるわけではないので、あげるならこっち。
あとの賞は駆け足で。見てない映画も多いので、ほとんど山勘です。
■脚本賞
バベル
硫黄島からの手紙
リトル・ミス・サンシャイン
☆パンズ・ラビリンス
クィーン
■脚色賞
Borat
トゥモロー・ワールド
ディパーテッド
リトル・チルドレン(原題)
☆あるスキャンダルの覚え書き
■撮影賞
ブラック・ダリア
☆トゥモロー・ワールド
The Illusionist
パンズ・ラビリンス
イリュージョンVS
■編集賞
バベル
ブラッド・ダイヤモンド
トゥモロー・ワールド
ディパーテッド
☆ユナイテッド93
■美術賞
ドリームガールズ
The Good Shepherd
☆パンズ・ラビリンス
パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト
イリュージョンVS
■衣装デザイン賞
Curse of the Golden Flower
プラダを着た悪魔
☆ドリームガールズ
マリー・アントワネット
クィーン
■作曲賞
バベル
The Good German
あるスキャンダルの覚え書き
☆パンズ・ラビリンス
クィーン
■歌曲賞
不都合な真実「I Need to Wake Up」
☆ドリームガールズ「リッスン」(ビヨンセのそこまでの我慢が爆発してます)
ドリームガールズ「ラヴ・ユー・アイ・ドゥ」
カーズ「アワ・タウン」
ドリームガールズ「ペイシェンス」
■メイクアップ賞
Apocalypto
☆もしも昨日が選べたら(リック・ベイカーの弟子で日本人の辻一弘がノミネートされています)
パンズ・ラビリンス
■録音賞
Apocalypto
ブラッド・ダイヤモンド
☆ドリームガールズ
父親たちの星条旗
パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト
■音響効果賞
Apocalypto
ブラッド・ダイヤモンド
☆父親たちの星条旗
硫黄島からの手紙
パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト
■視覚効果賞
☆パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト(これはまあ確実でしょう)
ポセイドン
スーパーマン リターンズ
■長編アニメ映画賞
☆カーズ
ハッピー フィート
モンスター・ハウス
■外国語映画賞
Days of Glory(アルジェリア)
Water(カナダ)
After the Wedding(デンマーク)
善き人のためのソナタ(ドイツ)
☆パンズ・ラビリンス(メキシコ)(もう絶対に絶対にデル・トロにとらせたい!)
■長編ドキュメンタリー映画賞
Deliver Us from Evil
☆不都合な真実
Iraq in Fragments
Jesus Camp
My Country, My Country
■短編ドキュメンタリー映画賞
The Blood of Yingzhou District
Recycled Life
Rehearsing a Dream
☆Two Hands: The Leon Fleisher Story
■短編アニメ映画賞
Tha Danish Poet
☆Lifted(効果音の第一人者ゲイリー・ライドストロームの初監督作)
マッチ売りの少女
Maestro
熱血どんぐりハンター!
■短編実写映画賞
小さなビンタ
Eramos Pocos
Helmer & Son
The Saviour
☆West Bank Story
映画芸術科学アカデミーの公式サイト
http://www.oscars.org/79academyawards/index.html
結果の速報はここに出るらしい。
http://www.wowow.co.jp/a_g2007/academy_awards/index.html
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