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2007年06月29日

 ■ 何でも『裏窓』にすればいいってもんじゃない、が

 6月22日にレンタル開始になった『ケイヴ・フィアー』という未公開映画がある。SFマガジンに短評を書くために一足先に見せてもらったのだが、これがなんと "Abominable" という雪男ものの新作UMA映画だった。

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http://www.artport.co.jp/library/in_video/cave_fear.htm

 監督・脚本・原案のライアン・シフリンというのは、何を隠そう映画音楽の大家ラロ・シフリンの息子で、これが長篇デビュー作。見るからに低予算の自主製作映画で、ライアンの演出も冴えているとは言いがたいが、設定とストーリー展開にそれなりの工夫があって、意外や意外、最後まで飽きずに見てしまった。

 事故で歩けなくなった車椅子の男が、山奥の別荘地にやってくる。向かいの山荘には若い女たちが泊まりに来ているのだが、その1人が毛むくじゃらの謎の怪物に惨殺されるのを、男は窓から見てしまう――という物語は、ずばりアルフレッド・ヒッチコックの『裏窓』のモンスター映画版。
 そんな強引な……と笑ってしまうが、女たちへの警告が届かなかったり、やがて男の存在も気づかれてしまったりという展開がそれらしく、最後は、車椅子の男がどうやって雪男と対決するのかが見せ場になる。

 場面と登場人物を限定した理にかなった低予算映画だが、父シフリンの担当した音楽だけが妙に豪華だったり(仕上げはスカイウォーカー・サウンド!)、ランス・ヘンリクセンとジェフリー・コムズがゲスト出演していたりという楽しみもある。

『裏窓』の本歌取りといえば、4月に全米公開されて意外なヒット作になった "Disturbia" が、ティーンエイジャー版『裏窓』ということで話題になったばかり。残念ながら日本公開は未定のようだが、こちらは自宅謹慎の裁判所命令で家から出られない高校生が、隣家の殺人事件を窓から見てしまうという話らしい。

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 一方、モンスター・パニック映画で『裏窓』といえば、『ミミックIII』も忘れられない。難病で部屋から出られない青年が、毎日眺めていたアパートの中庭に奇怪な人影を見てしまう、という物語。『ミミック』番外篇としてはなかなか悪くないアイデア・ストーリーだった(そういえば、これにもランス・ヘンリクセンが出ていたなあ)。

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『裏窓』のプロットを利用した映画はまだまだ他にもありそうだが、とりあえず思いつくのはこれぐらい。いろいろなジャンルの映画に転用が効くと思うのだがどうだろうか。
 
 

投稿者 chisesoeno : 2007年06月29日 18:01

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