≪ ヒューゴー賞に投票する | メイン | 明日からジョン・フォード特集 ≫

2007年08月24日

 ■ 言い訳 in グラインドハウス

 今月の映画秘宝(8月21日発売)のコラムでは、『デス・プルーフ in グラインドハウス』を取り上げて、ウィリー・デヴィルの歌について書きました。『デス・プルーフ』は、ごぞんじクエンティン・タランティーノの最新作。もともとは『グラインドハウス』という2本立てオムニバス映画の後半部分ですが、日本では独立した1本の長篇映画として封切られます(9月1日から全国公開)。

 コラムは試写で見せてもらった長篇版をもとに書いたのですが、もとになった2本立て版『グラインドハウス』が、今日から8日間だけ限定公開されるというので、さっそく六本木東宝まで見に行ってきました。
http://www.grindhousemovie.jp/usa.html


来場者プレゼントでもらった絵はがき大のロビーカード

「U.S.A.バージョン」と銘打たれたこれは、前半にロバート・ロドリゲスが監督した『プラネット・テラー in グラインドハウス』を置き、前後に抱腹絶倒の予告篇などおまけを付けた幕の内弁当のようなオムニバス映画。『デス・プルーフ』部分は長篇版よりも20分ほど短い別バージョンとなっています。

 で、参ったのは、コラムで取り上げたウィリー・デヴィルの歌う「イッツ・ソー・イージー」の使用場面が、この2本立て版では、ばっさりカットされていたこと。長篇版では2回も出てくるし、明らかに重要な曲だと思ったのに、コンビニの駐車場のシーンごと丸々消えているではありませんか。

 ちなみに、同じくコラムで触れたバート・バカラックの曲をくちずさむシーンもないし、ウィリー・デヴィルとどちらを取り上げようか迷ったコースターズ「ダウン・イン・メキシコ」の使用場面もなかったことになっているしで、結果として、タランティーノがカットしてもいいと思った場面ばかりを重要視していたという、批評の筋の悪さを露呈する形になってしまいました。

 というわけで、なにが言いたいかというと、現在公開中の2本立て版を見ても、先のコラムに書いたような挿入歌は出てこないので、そういう楽しみかたはできません、ということ。ウィリー・デヴィルの歌が聴きたい人は、ぜひ長篇版のほうをご覧下さい。まさかこれほど内容が違うとは思っていなかった、と言い訳しておきます。

 しかし、この件でいちばん悔しいのは、短いバージョンのほうが明らかに良くできているということ。選曲といい、使い方といい、ウィリー・デヴィルの起用は非常にうれしいのですが、それをテーマ曲にしている男が、後半ずっと姿を現わさないほうが、再登場シーンがぐっと盛り上がるのです。

 
サントラCD 国内盤 amazon.co.jp / 米盤 amazon.co.jp
 
 

投稿者 chisesoeno : 2007年08月24日 06:31

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://chisesoeno.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/30

コメント

コメントしてください