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2007年06月26日
3月16日のエントリーで触れたドン・シーゲルについての原稿だが、6月21日発売の映画秘宝8月号にようやく掲載された。肝心のDVDボックスが発売延期になっていたためだが、これがついに7月18日発売と決まり、原稿も陽の目を見たというわけだ。
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ドン・シーゲルの監督作というのは38本あるのだが(テレビシリーズを除く)、3月の後半は、このうちの見られるものをすべて製作順に見直すという作業に没頭していた。毎日ほぼ2本ずつのペースで、見終わったらメモをとり、気になる部分があれば何度も見直し、自伝や評伝やインタビューの関連記述を読み、要するに1日のうち12時間ぐらいは当時のハリウッド映画のことしか頭の中にないというドン・シーゲル漬けの日々を送っていたのである。
黄金時代のハリウッドの、それもおもに編集室の周辺で修行を積んだだけあって、ドン・シーゲルの映画にはおよそ無駄なショットというものがない。構図やカッティングはつねに的確で、複雑なアクションでも少ないカットであっという間に見せてしまう。予算の制約が強い映画ばかりを撮っていたせいもある。
つまり、ドン・シーゲル作品は、扱っている主題と同じぐらい、叙述の形式が見もので、優れているのだが、さて、そんな映画ばかり半月も見ているとどうなるか?
一段落して、映画館や試写で新作映画に接してみると、これがもう絶望的なまでの壊滅ぶり。叙述が鈍重で、無駄が多く、リズム感がなく、かったるくて、何を見ても楽しめない。
現代の新作にドン・シーゲルと同じことを要求してもしょうがないのだが、それにしても、この「ドン・シーゲル後遺症」の症状は重く、おかげで、ふだんなら充分に楽しめたはずの『ブラッド・ダイヤモンド』だの『ホリデイ』だのといった、それなりの水準の映画ですら、首をかしげながら見るはめになってしまった。
ちなみに、このころ見た映画で、唯一の例外として満足できたのは『ブラックブック』で、これぐらいきちんと作られていれば文句の言いようもなく、さすがはポール・ヴァーホーヴェンと思わされたのだった。
(このポスターは頂き物。さっそく貼っています。ありがとうございます)
投稿者 chisesoeno : 2007年06月26日 22:56
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