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2007年07月07日
昨日は、三省堂神保町本店で行われたイベント「柳下毅一郎さん、滝本誠さんトークショー ゴーレム降臨! アルフレッド・ベスターに始まるSF史」に行ってきました。
ベスターの『ゴーレム100』がついに!!!翻訳刊行されたことを記念するイベントです。
SFファンよりは映画ファンに名を知られているであろう評論家・滝本誠がなぜここに出てくるのか、ということで、最初にまず、70年代における滝本氏(平凡出版で雑誌クロワッサンの創刊編集者)のSF仕事が紹介されたわけですが、クロワッサンのSF記事のあまりにも先進的な内容に目を瞠らされたあと、さらに驚愕の告白がもたらされました。
『バルカンの鎚』の翻訳者は滝本誠だった!
フィリップ・K・ディックの長篇 "Vulcan's Hammer" (1960) の翻訳が、4号で頓挫したSF誌「月刊バルーン」に連載されていたことはご存じの方も多いと思いますが(1979年9月~12月号)、その『バルカンの鎚』の翻訳者「都筑明」とは、何を隠そう滝本誠だったというのです。ペンネームの由来は「こんなこと“つづくめえ”」のもじりだった由。
"Vulcan's Hammer" は今に至るも未訳であり、中断したといえこれは貴重な試みだったわけで、ビブリオグラファー、フィリップ・K・ディック・ファン双方の注意を喚起しておきたいです。
「月刊バルーン」の表紙画像とデータはこのサイトで見ることができます。
http://www.asahi-net.or.jp/~hh8m-iok/jp-balloon.htm
イベントはこのあとも、滝本誠と黒丸尚のささやかな邂逅のエピソードなど聞きどころが多く、さらには会場を訪れた渡辺佐智恵、若島正、山形浩生が順に登壇して、なんとも豪華なパネルと相成りました。とはいえ、個人的にはやはり『バルカンの鎚』ショックが最大の驚きであったと言いたいです。
アルフレッド・ベスターのSF長篇といえば、たった5冊しかないわけですが、
分解された男(1953)
虎よ、虎よ!(1957)
コンピュータ・コネクション(1974)
ゴーレム100(1980)
The Deceivers(1981)
今回の『ゴーレム100』の売れ行き次第では、最後の1冊の翻訳もありうるかもしれません。2625円という大部の翻訳小説としてはずいぶんお買い得な感じのする値段でもあり、みんなで買って読んで、大いに盛り上げようではありませんか。
投稿者 chisesoeno : 2007年07月07日 12:11
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神田三省堂で滝本誠氏と『ゴーレム100』刊行記念トークショー。「〈三省堂SF [続きを読む]
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